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シニアばかり集めたニュータウン(福岡・美奈宜の杜)

福岡県にシニアばかり集めたニュータウンがあると聞いて、日帰り取材を敢行!…しようと早朝から伊丹空港に来たら、「僕が乗る便だけ」欠航…あきらめかけたものの、「でも桜が撮れるのは今週だけだしな…」と思い直し、急遽新大阪に移動して「のぞみ」に飛び乗り行ってきました!空港からレンタカーのはずが、JRからレールバス乗り換えというスローな展開に…たどりついたのは朝倉市。典型的な「日本ののどかな田舎の風景」ですが、福岡にも通えないことはない…というぐらいの距離です。

ここは民間一社の開発。バブル以前に大学の進出を狙って土地を確保していたもののこの話がなくなって、アメリカはアリゾナにあるというシニアコミュニティを日本でもやるんだ!と社長さんが方針転換。ところがまちびらきしたときはバブルがはじけていて、「日本初のシニアタウン!」とマスコミはいっぱい来たものの家は20軒ぐらいしか建ってなくて入居希望者も引いてしまい、施設も思うように作れず雌伏の期間があったそうです。

しかし今となっては「一度に売れなかったのが良かった」。会社としてはしんどかったけれど入居者の世代が少しずつ入れ替わるサイクルができ、粘り強く売り続けて20年、なんとか格好がついてきた…という話でした(再販売も開発会社が仕切っています)。最近はスローライフ好きな人ならシニアでなくても誰でもおいで~と、ちょっと軌道修正しているようです。

いろいろ秘訣がわかったのは、要は民間一社の開発で、「売って終わり」ではなくライフサポートも民間警備も趣味のサークルのアレンジまでその一社がずっと面倒見てるのです。つまりバージョン違いの「ユーカリが丘」。無料じゃないけどかなり安い。案内してくれた営業マンが、あの家は北海道から来た、あの角に立ってる人は大阪から来た、あの人は80歳…と住民プロフィールをそらで言えるのが印象的でした。それぐらいの規模なんです。600軒ぐらい建ってるそうです。それでも覚えてるのはすごいな。

先入観では、もっと体が動かなくなった人が介護されながら静かに余生を暮らしている…というイメージでしたが、まだ元気な人が、いい空気と環境の中で活発にやっている…という、なんのことはない、郊外のニュータウンでよく見られる風景になっている印象でした。「田舎だけど完全に寄せ集めの町だから、どこから来てもなじめる。そういう意味では都会的。空気はいいし、皆さん元気になっちゃいます」…というのは営業トークが入ってる?としても、たぶん30年も前にこういうことを考えたのは「発想が早すぎて」、今あらためて日本版CCRCの先駆例として取材が増えているというのは、わかる気がしました。インスタントで出来る町って、ないんですよね。「ユーカリが丘」「スウェーデンヒルズ」「美奈宜の杜」…いずれも民間主体でコンセプトを崩さず長期間ゆっくり販売ができた町は、地価が比較的安く、超僻地でもない、規模が巨大ではない、コミュニティの運営に開発会社が関わり続けて価値の低下を防いでいる…という共通点があります。地価が異常に高くなければ、まちづくりはずいぶん自由になるんじゃないかと思いました。

住民のヤマは60代から70代前半にありますって、よく考えたら千里の戸建区画より若いやん。ただし住宅地の中に小学校はありません。住んでる子供は旧村までスクールバスで通ってる。在宅率が高いので空き巣などは一度もないそうです。な~るほど。セコムは義務的についてくるそうです。塀や柵は協定で立てられません。歳とってから自分の判断で越して来ようという人たちなので積極的な人が多いとか。アメリカのシニアコミュニティから着想を得ているそうですが、自立を尊ぶのはアメリカっぽいのかな。ただアメリカのが富裕層向けなのに対して、こちらは中の上ぐらいで収まるように作ってあるとか。それでどうやって経営が成り立ってるのか、そこがポイントと見ました。田舎だから地価は安いけれど、安っぽい感じはしなかったです。

民間一社が町のマネジメントを全部握っていることは、その一社があかんようになったら全部パーになるリスクと裏腹ですが、ライフログを応用してマーケティングが無駄なくできるのは利点ですね。無駄がなければサービスを安くできる。その会社の良心とセンスにかかっているとも言えます。あといろんなサービスが安くできるのは、住民と協働しているからでしょう。何十とあるサークルのうち講師を外から呼んできてるのは数えるほどだそうです。こう考えてくると、この町のしくみはずいぶん社会主義的ですね。

シニアコミュニティ、行ってみれば千里で毎日見てるのとたいして違いはなかった…という青い鳥的オチだった!?

この投稿は2016年4月2日にfacebookに投稿した文章に加筆したものです。

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  1. 2019年 8月 17日

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