これが山津波だ。(1938年7月・神戸六甲)

前日の写真と同じ時に撮ったと思われる阪神大水害の記録です。山から土石流が押し寄せた、まさに「山津波」の様子がわかります。岩だらけですね。
私は小さい頃祖母にこのときの話を繰り返し聞かされ、津波には海津波と山津波があって、それが来たらとにかく必死で走って逃げないといけないのだ…という話はそれは恐いものでした。海津波と山津波って…そういう話を海と山に挟まれた神戸魚崎の家で大雨の晩に聞かされるのですから、もう恐くて眠れません。経験者の話というのは細かいことを覚えていなくてもやはり迫力は伝わるので、今ではまたとない防災教育だったと感謝しています。
画面中ほどの架線はたぶん阪急神戸線の線路でしょう。まだ行っていませんが、今同じ場所に立って「定点観測」の写真は可能だろうかと思います。だいたい石屋川の近くだとはわかっていますし、阪急の線路、背後の山の形から、比較的場所を特定しやすい材料が揃っているからです。マンションなどが建っていなければですが…。電車の架線柱も場所を変えるほうが難しいので、70年たっても意外と同じ位置に立っていたりするものですが…。

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コメント

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  • コメント (2)

    • 森屋
    • 2008年 1月 19日

    この山津波は、確か陳舜臣さんの自伝「青雲の軸」に自身の経験として描かれてあったと思います。

    • 奥居武
    • 2008年 1月 20日

    それは一度読んでみたいものです。谷崎潤一郎『細雪』、手塚治虫『アドルフに告ぐ』、妹尾河童『少年H』などにも阪神大水害は登場します。戦前の神戸の共通体験を語る時に避けて通れない出来事だったといえるでしょう。このような大災害に遭ったとき記録を残そうとするのは本能のようなものかもしれませんね。祖父もそういう気持ちでシャッターを押したような気がします。

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