海上都市(芦屋浜シーサイドタウン・1980年9月)

芦屋浜ができたばかりの頃、撮りに行った写真があったはずだ…と押入れを捜索したら、出てきました!弓なりに続いている甲子園浜からの遠望。夕陽にうかびあがる未来都市のシルエットです。
甲子園浜は阪神間でほぼ唯一残された自然の浜で、あのころ流行り始めたウインドサーフィンが手前の海上に小さく写っています。あのころ一番コンパクトだった110のポケットフィルムで撮っているので画質は粗いですが…。夏が去って訪れる人も少なくなり、うろこ雲をうかべた空だけが人工と自然のコントラストを見おろしている29年前の9月の風がよみがえってきます。
阪神間は好きな場所だし、ニュータウンと万博の風をいっぱいに吸って育った者としては、こういった未来の中に情感を感じさせる景色は、どこか原風景に近いところがあるようです。
甲子園浜は2009年の今も残されていますが沖に阪神高速湾岸線が通り、あいだの西宮浜にも人工島ができたので、今では同じアングルで芦屋浜を見通すことは難しいのではないでしょうか。
季節は同じようにめぐり、人工都市は歳月を重ねていく…29年なんて、あっというまです。

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (4)

    • sisi
    • 2009年 8月 29日

    きれいな風景ですね。

    • 奥居武
    • 2009年 8月 30日

    sisiさん、ありがとうございます。変色していたプリントをスキャンして夕日の印象が飛ばないように注意して調整したのですが、撮った本人ながらホレボレします。シルエットの中に余計な要素が消えてしまっているからでしょうね。なにか文明的な印象もして、猿の惑星のラストシーンみたいだなと思ってしまいました。「ここは…地球だったんだ!」ってやつ。

    • みゅら
    • 2009年 9月 01日

    長崎の軍艦島を思い起こさせる写真ですね。
    あの島は、何十年も前に無人島になった島ですが
    近未来的な風景ですよね。
    余談ですが、今本屋さんに並んでいる
    週刊ダイヤモンドは「ニッポンの団地」という
    特集が組まれています。
    中に、とても目に馴染む写真がありましたよ。

    • 奥居武
    • 2009年 9月 01日

    週刊ダイヤモンド「ニッポンの団地」、もちろんさっそく買いました。せっかく藤白台の写真が出てるのに、地図の説明との対応関係が青山台と入れ替わってるんですよ。NHKの土曜ドラマ「再生の町」も(ニュータウンが舞台ではないけれど)ニュータウンの話が出てきて、目が離せません。

好評発売中!

CITY LIFE刊のムックガイド。「歴史文化」「まちづくり」の取材が丁寧で大充実。「北千里を歩く象」の記事で協力しました。こちらから購入できます。

好評発売中!

樹林舎刊の写真集『吹田市の昭和』の千里ニュータウン部分を中心に、コラム執筆や写真のアレンジ、事実関係の確認などを担当しました。限定1,500部。書店でお申し込みください。

好評配布中!〔無料〕

千里ニュータウンの最新状況がわかる「千里ニュータウンマップ2018」の制作をお手伝いしました。このマップは南千里駅前の「吹田市立千里ニュータウン情報館」で配布しています。2013年版も在庫があります。

好評発売中!

吹田市立博物館とパルテノン多摩の2018年共同企画「ニュータウン誕生」の展示・図録制作をお手伝いしました。図録購入(吹田版)はこちら。多摩版はこちら。(内容は同じです)

アーカイブ

ページ上部へ戻る