
早くも万博も「中盤」となり、どこが人気館かもハッキリしてきました。おカネのかかったシグネチャー館や国内大手企業館は「そうだろうな」という感じですが、中には館や国の規模にかかわらず、いつ行っても行列が長い「意外な人気館」もあります。その秘密は、中に入ってみるとわかります。
1つめは「ヨルダン館」。パビリオンは規格型で中規模の「タイプB」と呼ばれるタイプですが、何度行っても2時間待ちだったり並べなかったり…「なんでだろうな?」と覚悟を決めて(比較的すいている時に)チャレンジしてみると…中は砂漠でした。靴を脱いで、国から運んできた砂の上に直接座って「砂漠の一夜」を体験できます。
靴を脱いで滞留するので多くの人数はさばけないですが、「足が棒」になるまで歩き回っている多くの観客にとっては、足を解放して地べたに座れる感覚は、まさに「別世界」。スター・ウォーズのロケに使われた…という付加情報抜きでも、心に残る体験になります。検疫を通すために砂はすべて洗ったそうですから、アイデア勝負+努力賞ものと言えます。
(実は「現地から運んだ砂の上に座る」体験は関西パビリオンの鳥取県コーナーでも人気なのですが、そちらは靴を脱がないのです。手間がかかる分だけ、ヨルダンのほうが一枚上手でした。)

人気と言えば、海外館で一番並ぶのは「イタリア館」。こちらも覚悟を決めて、トイレも済ませて、「きょうはこれ一つ見られればいい」と参戦して4時間半待ち!(その日は涼しかったのは助かった。)イタリアが誇る本邦初公開の芸術作品がガラスケースもなく直接見られるのは、「万博ならでは」の本物感にあふれています。館のテーマは「アートは生命を再生する」。全体テーマの「いのち輝く…」に「どや!」と答えた感じですね。誰もローマ文明にはさからえないです。
情報飽和時代の万博、誰もがスマホで世界と未来を知っているような錯覚に陥っている時に、触感や本物が人気を集めるというのは、示唆的です。映像技術もどんどん進歩していますが、スクリーンの外側に、私たちの知らない世界はいくらでも広がっています。「オンラインは便利だけれど物足りないな。これだけじゃ生きていけないな」ということは、ほんの数年前、私たちは身をもって体験したばかりですよね。
(ちなみにイタリア館前で4時間半並んでいる間、大リングを挟んで向かいのよしもと館からはたえず「♪ホンワカホンワ~」という例のテーマ曲をたえずインプットされ続け、おかげでイタリア芸術を見ると吉本のテーマ曲が脳内再生される変な回路が出来あがってしまいました。それもまた万博です…。)
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