
万博で展示されているのは、ハッピーで望ましい未来像だけではありません。ウクライナ、パレスチナ、イスラエルなどの「戦争当事者国」も、展示を出しています。「戦争中に万博参加なんて?」と思ってしまいそうですが、1970年の時もベトナム戦争下の南ベトナムは展示を出していました(しかも独立館だった)。
今回、やはり注目を集めていたのはウクライナです。途上国の展示コーナーが集まった「コモンズ」の一角ですが、行列ができていました。その理由は(コモンズは「通り抜けるだけ」の展示方式をとる国が多いのですが)、端末を入場者に貸し出して、展示されたオブジェに付されたバーコードを読み取るとその背後の物語が端末の映像で見られる…という「しっかりした見せ方」をしていたからでもあります。地下鉄に避難した学校、言論の自由、ダム破壊による浸水から救出されるペット…映し出される物語は戦争下での「生きる意志」を伝える切実な画面でありながら、展示ブースは同国の国旗にちなんだ黄色と青で統一されていて、文化性の高さも伝える展示でした。
全体タイトルは「NOT FOR SALE」(売り物ではない)。誇り高い言葉です。国際社会につながっていることは、同国にとって国の存続を賭けた重要な場でもあるわけです。戦争がなければ…独立館を出すぐらいの国力はある国なのだと思いました。「世界の今」を感じられる万博は、決してテーマパークではありません。
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