「わが道を行く」老舗国

万博外国館の展示は、その国の万博参加のキャリアに合わせて特色が出るのも面白いところです。こちらはハイファッションのアピールに振り切ったと評判のフランス館。フランスといえばイギリスと並んで万博開催に関しては老舗中の老舗。「最初の万博」が行われたのはロンドンということになっていますが、今、万博を仕切っているB.I.E.本部はパリにありますから「本場中の本場」です。

その展示は…ルイ・ヴィトン、ディオール、セリーヌ…フランスが誇るブランド品で仕立てた「これでもか!」というインスタレーション。デジタル仕掛けで飛び出したり光ったりはしませんが、威風堂々。万博に出るのだからあれもこれも盛り込んで…と欲張ってしまうのは「若い国」がやりがちなパターンですが、「もう、うちはこれどす」という削ぎ落されたコンセプト、割り切りが潔い。それでいて美しい。「展示」という行為に対するヨーロッパ諸国の考え方は、成熟しています。

「いや、こんな展示は不真面目だ。『いのち輝く…』というテーマを自由解釈しすぎだ。どこが未来社会なの?日本人にはブランド品見せておけという傲慢さを感じる。自国産品を陳列しておくというのは、万博の使い方として19世紀的な考え方に退化している」とフランスに詳しい方は厳しいコメント。…そういう見方も…成り立ちますね…

今回の万博、大阪に決まるまでの招致初期最大のライバルは「パリ」でした。パリは20世紀前半までは繰り返し万博を開催していましたが、「大きな万博」で最後にやったのは、ピカソの「ゲルニカ」が出たという1937年が最後。その時以来の立候補とあれば絶対本気で来るに違いない…と身構えていたら、財政問題を理由に突然おりてしまったのでした。ツンデレここに極まれり。それがまた素敵に見えてしまうのも、パリだからでしょうね。

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