父の卒業

当ブログにはふさわしくない?ガラクタの山…父のクルマのトランクから出てきた羽根ぼうき、三角停止板、工具etcetc…
御年88歳になる父が先日ようやくクルマの運転をやめました。オアシスの駐車場で小さな物損事故を起こし、「人をはねないうちにやめてくれ」という説得をようやく聞いてくれました。免許を取ったのが59歳のとき(1979年)、以来29年間で3台のクルマを乗り継ぎました。
80歳を越したあたりから家族もさすがに心配になり、誕生日や免許更新のたびに「人をはねないうちに…」と言ってきたのですが、坂だらけの千里ニュータウンでクルマの生活が日常になってしまうと、「医者に行けなくなる…コーナンに行けなくなる…関西スーパーに行けなくなる…」と言い続け…免許更新時の高齢者テストも「どうか落ちますように…」と願っているとパスしてしまい、まあそれならいいか…と思いつつ、ここ1、2年はいろいろな「判断」が危うくなってきて、「運転をやめるという判断が出来なくなっているのではないか?」と気が気ではありませんでした。
オアシスの方には本当にご迷惑をおかけしましたが、人をはねずに運転を卒業できて、幸運だったのかもしれません(やはりもっと早くやめるべきだったのでしょう)。クルマは現場で運転不能になり、ディーラーにレッカー移動されてそのまま廃車…淋しいことですが仕方ありません。
運転が危うくなってからも、僕は一切サポートはしませんでした。運転は一人でするものだからです。行きつけのスタンドがセルフになり、「わからんから一緒に来てくれ」と頼まれた時は「わからんのやったら運転やめんとあかんよ」と言いつつ、一方では高齢社会の不条理を感じつつ2度ほどついていきましたが…。
僕が繰り返しこのブログで「公共交通機関がいい加減な町はダメだ」「歩いて暮らせる町にしないと!」と言い続けているのは、自家用車に依存しきった設計の町では、高齢者は必ず「住みきれなく」なるからです。また、運転をやめた時の「生活落差」も問題になります。
知人から聞いた話ですが、母上はクルマの免許を持っているが認知症、父上はしっかりしているが免許はなく、2人で田舎で暮らしているのでクルマを運転しないわけにいかず、やむかたなく2人ペアで出かけて日常の用を足していたとのこと…こんな話は実は多いのではないでしょうか。
日本以上にクルマ社会のアメリカでも、「高齢者もクルマを運転している」のではなく、「高齢者もクルマを運転しないと生活できない」。アカデミー賞も獲った映画『ドライビングmissデイジー』は、高齢になって息子に運転手をあてがわれる老婦人が主人公の名作ですが、千里で暮らしていると、とても他人事とは思えません。(運転手を雇う資金は僕にはないですが…)
高齢社会でも最先端の千里ニュータウン。この町で暮らしていると、いろいろな「日本の未来」がひしひしと迫ってきます。

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コメント

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  • コメント (2)

    • pigmon
    • 2008年 7月 22日

    千里ではないけれど、ニュータウンに住んでいる義父(80才)は、片方の足が悪くなってから、ますます車が手放せなくなりました。家族は心配でしかたがないのですが、歩いて外出するのはいやだと言いはり、しびれた片足を引きずりながら車を運転し、ひとりで病院(癌治療中のため)やら本屋にでかけます。たしかにNTは歩行者サイズの町とはいいがたいですね。そればかりか、遠方の親戚を訪ねるのも、電車は駅の階段がツライといって、長距離運転したがるのです。。。スピードの出ない、少々ぶつかっても運転者も周りの人にも安全な、杖みたいな自動車って、できないものでしょうかねぇ。

    • 奥居武
    • 2008年 7月 23日

    昔のイメージのように日がな縁側で日向ぼっこ…という高齢者はあまりいなくて、80でも90でも動き回りたがるのが今という時代なんでしょう。現代人は「情報の生き物」なんですね。日本のクルマメーカーには、ぜひとも高齢者の外出を助ける乗り物?を本気で開発してほしいです。それこそ「時代が求めている」ものでしょう。電車やバスについては通称「交通バリアフリー法」というのがあって、駅のエレベーター設置やバスのステップ解消が政策的に進められてはいます。停車すると車体全体が沈み込むようにプシュ~と下がって床が低くなる阪急バスを千里中央で見たときはカンドーしました。技術の開発と高齢化の進展は競争!という感じがします。

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