オープンガーデンで町を結ぶ(北海道・恵み野)

ニュージーランドのクライストチャーチに触発されて、恵み野の人たちは自分たちの町を「花の町」にしよう!とコンテスト活動などを始め…やがてその成果は雑誌などで紹介されるようになっていきます。町が花いっぱいになると心が安らぐし防犯にもなるし(手が入ってる庭はドロボーは苦手)、庭造りに身体を動かせば健康にもいい。まさにいいことづくめ!
ところが「恵み野=ガーデンシティ=花いっぱい」というイメージ戦略は当たったものの、やがて困ったことが…静かな住宅街に観光バスなどが「花見物」にやってくるようになって、町が活気づくのはいいけれど、ちょっと安らげないぞ…?
…というところで、この活動のキーマンになった町の喫茶店のオーナーさんが出した答えは…「じゃあ、他の町にもこの運動を広げましょう!そうすれば、恵み野だけにお客さんが殺到することはなくなるんじゃないかしら?」
…という話を伺って、僕は感心してしまいました。何か問題が出てきたときに、あきらめるのではなく、もう一歩前に出ることで解決を作っていく積極性。こういう人がやっぱり町のキーマンになるんだなと。
今では「ガーデンアイランド北海道」という運動名もできて、北海道のいろいろな町の立派なオープンガーデンガイドブックも出されています。
この話を伺って感じ入るのは、アイデアひとつで、普通のおうちの庭を活かしながら皆が楽しめる仕組みを創ってしまったこと。しかも自分たちの町から北海道全体に運動のネットワークを広げていったこと。まちおこしって、ハコモノ作るだけじゃないんですよね。(つづく)

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コメント

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  • コメント (2)

    • カンチョー
    • 2009年 1月 29日

    今さらながら、市民のアイデアのすごさに驚きますね。北海道のまち、花いっぱいかー。梅棹忠夫さんの京都についてのコメント、京都人は観光客なんかに来てもらいたいなどとは思っていないというのをおもいだしました。そんな市民の地震とプライドが人をあつめるんでしょうね。

    • 奥居武
    • 2009年 1月 30日

    人は来てほしいけれどいっぱいは来てほしくない…という「バランス」を保つことは難しいですね!しかし町が町であるためには一定比率の外来者が絶えずいることは必要なんだと思います。その「いい緊張感」が張り合いになって、花の手入れにも精が出るのではないでしょうか。ほんと、このアイデアは「他の町にも展開できる」ところがビッグ・アイデアだと思います。

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