クエーカー教徒のための集会所(イギリス・レッチワース田園都市)

(2013年8月に訪問した時の記録です。)レッチワースはそれほど大きな町ではなく、1,800haというのは千里ニュータウンの約1.6倍の広さですが、周辺の農園地帯や工業団地も入れての面積だし、中心部は「歩いて回れる範囲」と言っていいと思うのですが…さすが、歴史が濃い!紹介したくなるポイントがたくさんあります。

この建物…Howgills Friends’ Meeting Houseもその一つ。1907年築。レッチワース初期の建物で、Society of Friendsと言われるクエーカー教徒(キリスト教の一派)のための集会所として造られたとのことです。現在は礼拝だけでなく、いろいろな地域活動やグループのために使われているとのこと。コミセンとか公民館のような役割を持っているということでしょうか。 クエーカー教徒 がうたう「友達の社会」という概念は、理想郷的な感じもしますが、ひとつのコミュニティ・マインドだと考えれば普遍性のある精神とも言えます。

緑に包まれた建築の美しさもさることながら、小さな町の中に、何重にもコミュニティを形成するための「場」が設けられていることが印象的です。そういう「ソフト」も含めての「田園都市」ということでしょう。

1903年にレッチワースが始まり、日本には早くも1920年代に田園調布や、千里山や、その影響を受けた町が造られ始めるわけですが、外形のみを真似して、賃貸を分譲に変えてしまって、宗教的なバックボーンも引っこ抜いてしまって、そこでは何が受け継がれて、何が換骨奪胎されたのか?(日本化されたことが「悪い」とは言いません。)その末裔である「ニュータウン」を考えるときにも、その足跡はいろいろな問いを投げかけてきます。(まだ、つづく

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

好評発売中!

CITY LIFE刊のムックガイド。「歴史文化」「まちづくり」の取材が丁寧で大充実。「北千里を歩く象」の記事で協力しました。こちらから購入できます。

好評発売中!

樹林舎刊の写真集『吹田市の昭和』の千里ニュータウン部分を中心に、コラム執筆や写真のアレンジ、事実関係の確認などを担当しました。限定1,500部。書店でお申し込みください。

好評配布中!〔無料〕

千里ニュータウンの最新状況がわかる「千里ニュータウンマップ2018」の制作をお手伝いしました。このマップは南千里駅前の「吹田市立千里ニュータウン情報館」で配布しています。2013年版も在庫があります。

好評発売中!

吹田市立博物館とパルテノン多摩の2018年共同企画「ニュータウン誕生」の展示・図録制作をお手伝いしました。図録購入(吹田版)はこちら。多摩版はこちら。(内容は同じです)

アーカイブ

ページ上部へ戻る