空にあこがれて(空飛ぶクルマ)

万博開会前には「目玉のひとつ」のように期待されたものの、結局開発や安全確認が間に合わず、お客さんを乗せるのはあきらめて展示飛行だけ…と目標を下げたのも事故が発生してなかなか飛び姿を拝見できなかった「空飛ぶクルマ」!やっと数日間、別機種のデモ飛行が見られそうだとなって、会場のいっちばん西の端(西ゲートよりさらに西の奥!)まで行って、拝んできました。(8月22日。空飛ぶクルマには3つの陣営があってこの機種の飛行は万博では終了しています。別陣営のデモ飛行が9月下旬からある予定です。)

この日はポートの外側のフェンスに全員がへばりついて見守る方式で入場予約などは要らなかったのですが、浮かび上がるのは1日に2回だけ。それも風の様子を見て状況が悪ければキャンセル…自然が相手なので直前までわかりません…という気の持たせよう。大勢が炎天下で待ち続ける状況で、待ち時間のアナウンスは日本語と英語でスタッフが(録音ではなく)屋外現場でつなぎ続け、係の人も大変だなと思いましたが、予定時間から遅れること15分弱、飛びました!

操縦士が1名、乗っています。あと2名、お客さんが乗れる想定です。機体の高さは13m。30mぐらい浮き上がって、100mぐらいしずしずと前進して、そのまま後退して、静かに下りて終わり。飛行時間は10分あったでしょうか。ポートの敷地から出たかどうか?という慎重ぶりでしたが、とにかく、飛びました!

ヘリコプターと「空飛ぶクルマ」は何が違うのか?待っている間聞いたアナウンスによると、1つめは、ヘリはエンジンで動くが「空飛ぶクルマ」はモーターで動く。2つめは、「空飛ぶクルマ」は12個のローターがついているのでリスクが分散されている。3つめは、うんと静かである。…ということだったんですが、音はけっこうしていました。風切り音は避けられないですからね。ヘリのように、近くにいると会話もできない…ということはありません。

気をもたせる「空飛ぶクルマ」ですが、この陣営では2026年にデリバリー開始をめざすとサイトには書いてあるけれど、実用化にはまだ年月がかかるような気がしました。2026年って、来年やん。デモ飛行ですらこの慎重さで、仮にきわめて安全に一般の上空を飛べるようになったところで、交通法規はどうするのか?技術面だけでなく制度面の課題もあります。発着する場所も作らないと実用にならない。無人操縦で荷物だけ運んで上空から落とす…といった用途でも災害救援などには役に立つでしょうが、操縦士が乗らないのではドローンだし、その段階ですらもうずいぶん前から実験しているようだけれど「ここで実用的に使っている」という話も聞かないし。

でもいいんです。千里の空も一歩から。近い未来から踏み出さないと、遠い未来にはたどりつけない。万博ではずみがつけば。リニアモーターカーだって、1970年万博の日本館で模型を展示していて、まだ実用化されていないけれど人を乗せた試運転まではたどりついている。人にはそういう「あこがれる」部分もないと、世の中面白くならないと思うのです。そういう場が万博なんじゃないでしょうか?

(ちなみに、ポートと全然別の場所のパビリオン「空飛ぶクルマステーション」館内に常設展示されていたのがこれ。第一印象→デカい!これはヘリと同じだなと思ったのですが、何がヘリと違うかは、館内にも上記と同じ説明がありました。見るだけなら予約なしで入れます。)

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