映画「阪急電車」を見た。
- 2011/5/1
- 災害体験
- まちあるき, 交通, カルチャー
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このブログをよくお読みの方はお気づきかもしれませんが、私は「ニュータウンマニア」であるのと同じぐらい「鉄道が大好き」です。自宅には1973年以来38年分の『鉄道ファン』バックナンバーがぎっしり…このブログも「鉄道ブログ」になってしまわないよう、鉄道ネタはめったにやらないと戒めているぐらいです。
が。映画「阪急電車」を見て、これは書いてもいいだろうと。僕は鉄道の中でも阪急は大好き。ですから「阪急電車」というタイトルの小説が本屋に並んでいるのを見たときはやはり買ってしまったし、作風はいささか甘すぎて登場人物にいい人が多すぎてそんなにハマったわけでもなかったのですが、映画になれば本物の阪急電車が出てくるわけですから!
で、この映画、主役は電車というより、むしろ「町」でした。全員が知り合いなわけじゃない、でもなんとなくどこかですれ違っていたり、ちょっとしたきっかけでつながってしまうぐらいの、そんなサイズの町。この映画(小説)では、それぐらいのサイズの町の電車で、ちょっとした「事件」をきっかけに「知らない隣人に声をかける」ところからエピソードがスタートする…ことがアイデアになっています。この「阪急電車」の舞台は今津線(北線)ですが、そういう雰囲気はまさに関西のものだという感じがしました。
で、阪急の支線の中で、今津線と長さが一番近いのが、わが千里線です。千里線のほうが長いし、単純な折り返しではなく半分は本線直通の梅田ゆきなので今津線のような「ひだまり感」はやや薄いのですが、北千里-淡路間(10.1km)の距離は宝塚-西宮北口間(7.7km)と、わりと近い(今津線のほうがややオシャレなイメージではありますが…)。この電車に乗ってると、たまに知ってる人に出会ったり、寝ているところを見られていたり、まあなんとなく庭先の延長みたいなところがあります。途中カーブや坂も多くてのたのた走るので「遅い」と文句を言う沿線住民は多いですが…遅いから本が読めるし。「遅い」という共通の話題で皆が盛り上がれるのは、まあなんかいいサイズというか。(ああやっぱり阪急のことになるとホメてしまう…)
「全員が知り合いなわけじゃない、でもなんとなくどこかですれ違っていたり、ちょっとしたきっかけでつながってしまう」ところが、電車の支線は郊外の町と合わせ鏡なのだと、そんなことを思いました。
ここは関西なんだけど映画の中では「いかにも関西」(と東京の人が思いがちな)のド派手なオバチャン達が明らかに浮いていて、それはまさに阪急沿線としか言いようがない空気感。
この映画、公開準備中に震災が来て、あまりに平和で日常的な内容なので関係者にはためらいもあったようですが、知らない隣人に声をかける大切さ、なんでもない日常の大切さが、この状況で見るとひとしお胸にしみわたってきます。今津線沿線は阪神大震災ではひどく被災し、大規模な地滑りがあったり上をまたぐ高架橋が落ちたり、まったく「日常でない」ときもありました。それでも人々は日常を営み続ける…「ガンバレ!」って言ってなくても明日も生きていく気になる、そんな物語です。甘いケーキを食べても人はやる気になれるってことかな!
※ちなみに「阪急電車」は通称で、阪急自身は「阪急電鉄」という呼称を使っています。同じグループの阪神は「阪神電車」。ちょっと鉄ネタでした。
コメント
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コメント (2)
見てみようと思ってました。
毎日目にしている何気ない日常が、実はいいのでしょうね。
やはり鉄道好きの関東人ですが、阪急の電車のあの落ち着いた色(オーセンティックでしたか・・・)が大好きです。
それはもう、一度震災を経験したら「退屈なほどの日常」がいかにありがたいものか、身に沁みて思います。電車がダイヤ通りに走ってるというだけのことがどれだけすごいことか。「変わらない日常」の象徴として、あの阪急のマルーンカラーはあるのかもしれないです。