前回は国循(国立循環器病研究センター)の移転に関して思わず熱が入ってしまいましたが、反応も多くいただきました。ありがとうございます。
この一件で勉強したことのひとつは、「機能を止められない施設の現地建替の難しさ」です。国循は単なる病院ではなく、研究所と一体になった高度専門医療研究センターのひとつですが、それだけに6.6ヘクタールもあっても、敷地はかなり手狭でした。
当初、現地建替で検討されていた時には、この敷地内で、どうやって機能を止めず、土地をやりくりしながら建替を進めるか?が大きな課題となっていました。一挙の建替は無理で、二期に分けた建替計画でした。
現地看板が立つところまで行っていましたが、リーマンショックで全体計画が遅れ、そのうちに吹田操車場跡が出てきた…というのが、「現地建替」から「移転」に変わった理由だと地元には説明されました。吹田市としては、著名機関を市外に逃げられることだけは避けたいと焦った気持ちもあったはずです。
実は岸部の移転先は藤白台の敷地より狭いのですが、それでも、更地であれば従前の場所で営業を続けながら新しい場所で建設を進め、一挙に移転することが可能になります。一期工事と二期工事の間の「過渡的なステージ」の不便さを考える必要もありません。
「病院」というのは、止められない都市機能の代表のようなものですから、たしかに、古くなってきた時には移転してしまうことが多いようです。吹田市市民病院も1982年と2018年と2回移転していますし、市立豊中病院も移転していますし、箕面市立病院も移転が決定しています。新千里病院→済生会千里病院は、同じ敷地内で駐車場敷地を使って、休日急病診療所を別の場所に出して現地建替していますが、これは恵まれた例でしょう。
これと似た例で聞いたのが、テレビ局です。テレビ局は放送設備のカタマリで、場所もいるし、システムを15年に一度ぐらいは更新しなくてはならない。しかし放送は一日も止められない。すると現地建替は非常に難しく、移転してしまったほうが早い、ということです。そういえば、関西の主要局も、のきなみ移転しています。
すると都市機能というものは、駅前の商業施設や小学校など、「そこになくてはならない」ものもありますが、流転していく運命のものもあるということですね。藤白台の北消防署も、南千里への移転が決まっています(一部機能は残ります)。都市の計画性を考える時、そういうことも計算しておかないといけないということです。(それにしても…あーくやしい)
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。