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- ニュータウン・ブックチャレンジ(5/7)…滝山コミューン一九七四
「ニュータウン・ブックチャレンジ」5日目は『滝山コミューン一九七四』(2010年 講談社文庫、原武史著)。原著は2007年に出ています。ニュータウンというより大規模団地ですが。東京都東久留米市の滝山団地を舞台に書かれた「団地の政治風土」に関する論考。著者自身の体験がベースになっています。
この本を選んだ理由は、自分が同じ頃、大阪の千里ニュータウンで経験したことと、あまりに相似形な出来事が東京でも起きていた!という驚き。自分のまわりだけの出来事だと思っていたことが、実は全国的(というか汎団地的・汎ニュータウン的?)なムーブメントの一部だったと知ったときには、やはりニュータウン・団地というものの共通性を考えずにはいられませんでした。
それは団地のモジュールが一緒だったとか、ライフスタイルが一緒だったとかだけでなく「政治思想的傾向」に関しても、そうだったのです。原武史さんは僕より3つ若いようですが、1974年といえば、僕は中学3年生。オイルショックの翌年ですが、ドリフや花の中3トリオ、新御三家がテレビをにぎやかに彩っていた絶頂の年でした。千里は一番人口も多く活発だった時期で、僕は中学校生活はとても面白かったのですが、学校・PTA・生徒が3つ巴で日々繰り広げていたことは…とても「勉強だけ」ではありませんでした。
母校の名誉のために付け加えると「荒れていた」のではありません。学校の学力レベルも、かなり高かったと聞いています(今でもそうらしいです)。…かといって「バンカラ」というのでもなく…支障があるといけないので詳しくは書けませんが、僕が『統一列車は走る』という曲を今でもそらで歌えるというエピソードだけを書いておきます。学校で教えられたから歌えるのですが、「うたごえ運動」を通じてこの曲は広まったようですね。そういう時代だったのですが、とくにニュータウンや大規模団地がある地域では、そういう傾向が鮮明に出た、ということだったのでしょう。
新しい町には、新しい思想空間が生まれる…ということです。政治勢力もそこに関心を持たないわけがありません。僕はませていたので、そういう「時代の熱」を面白がりつつ、のめりこみもせず見ていましたが、合わなかった同級生もいたようです。(今でも同級生は仲がいいです。)
原武史さんは「団地」と「鉄」の二点で関心が重なり、『レッドアローとスターハウス―もうひとつの戦後思想史』という後著はまさに僕にとって「2度おいしい」本なんですが、「一九七四」という特定年の記憶の鮮やかさから、こちらのほうを選びました。
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