
千里南公園の林の中に、ひっそりとつつましげにたたずんでいるのが、「仲良し」と題されたこのレリーフ。お地蔵さんというのでもないし(すこし異国風にも見える)、他のアート作品のように作者名が刻んであるわけでもないし…なんだか不思議な存在です。水仙の花が供えてあって、静かにファンがいるようです。
この公園には文学碑が15基もあり、1982年に寄付によって設置されたようですが、このレリーフはその時の「おまけ」というか、アクセントとして一緒に置かれたようです。そのほかに千里ニュータウン全体には多数のアート群も設置されていますが、いずれも「作家性」を主張している中で、この「仲良し」だけが無名性をもって良しとしている風情なのは異色です。
1980年代と言えば日本が経済的に一番良かった時代で、千里ニュータウンは初期住民が「中高年」にさしかかって「心のゆとり」に目が向いてきた頃。そのような背景の中で、人工都市にも文化の香りを…という願いが反映された文学碑群の設置でしたが、ひとつだけ無名の可愛い像を置いたのは、住民たち自身の自画像だったのかもしれません。(文学碑群とこのレリーフは拓本が取れるようになっていて、その作業を通じても人間関係が育つような仕組みになっていました。)
町は結局、人と人のつながりです。旧知の人間関係が皆無だった新開地のニュータウンで「仲良し」を願った住民たちの思いは、なんだかほっとしますね。住んでいる人の仲が良いことは、防災の基本でもあるはずです。「復興」という言葉も、本当は人間関係の組み立て直しなんだろうな。
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ランドスケープの観点から「万博レガシー」を考える特集号。超豪華メンバーにまぜていただき、千里万博の近隣住民として60年にわたり変化を見てきた私の講演録も出ています。

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