なぜかまたがるニュータウン(湘南ライフタウン)

こちらは神奈川県、藤沢市と茅ヶ崎市にまたがっている湘南ライフタウン。湘南といえば海のイメージですが、5kmほど内陸に入った丘陵部なので団地の高層階に上ったらなんとか海が見える…という距離でしょうか。
この湘南ライフタウンでは、大半が藤沢市で路線バスも藤沢市の駅(辻堂、湘南台)にしか出ないのに、ごく一部が茅ヶ崎市で、住民が藤沢市への編入を訴えているようです。
wikipediaによれば完成後に市境の整理をする予定だったのがこじれて中断してしまったとのことで、「2つの市でいく」つもりで造っていないため、市境はいまや完全にイレギュラーな線となって町を分断しています(造成前は何らかの意味があったのだと思いますが…)。
市境は戸建区画から集合住宅区画にも食い込んでいて、URの羽根沢第一住宅という団地では、1号棟から6号棟までが藤沢市、7号棟から16号棟までが茅ヶ崎市。現地を歩いても団地の真ん中に市境が走っているなんてまったくわかりません。
茅ヶ崎市の区画では各戸のポストに「湘南ライフタウンは1つの町1つの行政 当地区を藤沢市へ編入させよう」というステッカーが貼ってあるし、この大看板では茅ヶ崎市の公共施設がライフタウンには何一つないこと、防犯や防災上の不安などが訴えられています。行政区が真っ二つに分かれたニュータウンも何かと複雑なことになりますが、このようにごく一部だけの行政区が違ってしまうケースも、マイナー側に入ったほうはやりづらいでしょう。
実はこのライフタウン、「共生の思想」の黒川紀章氏が設計しているのですが、1つのニュータウンは1つの町として共生していきたいのが住民の願いではないでしょうか。「砂まじりの茅ヶ崎」じゃなくて「藤沢まじりの茅ヶ崎」って言ったら、おこられるかな。
「お住まいは?」と聞かれた時に、僕はたいがい「吹田」じゃなくて「千里です」とニュータウンの名前のほうを答えるのですが、ここに住んでる人はやはり「茅ヶ崎」ではなく「湘南ライフタウンです」と答えるのでしょうか?

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