ご近所が一つの庭みたい(愛知・桃花台ニュータウン)

いろいろな試みが盛り込まれた桃花台ニュータウン、少し歩いてヒューマンヒルズ光ケ丘という一角にやってきました。
こちらは1989年入居開始ということですでに落ち着きを醸し出していますが、やはりなかなかに凝っています。車道はカーブし、住居は道と平行に建てられていませんし、塀を立てず(オープン外構という考え方)、門柱は各戸とも揃いのデザインで門扉なし、中京圏の暮らしに欠かせない駐車場スペースは屋根なしでコモンスペースのように統一され、車道から私有地への空間が連続して一体に見えるよう、徹底してコントロールされています。電柱埋設はされていませんが、茶色に塗られて奥に引っ込んだ位置に立てられていることがわかります。
つまり、ご近所が一つの庭みたいに見えるように作られているのです。塀を立てないことは防犯が気になりますが、このループ状の車道は外部からの入口が1ヶ所に絞られており、ウロウロ写真を撮っていると肩身が狭いのなんのって…。千里のように道路と私有地の段差もなく(これも最近の住宅地の特徴)、道に立っていると、どこからも丸見え気分になってしまうことうけあいでした。
同時期に造られた神戸三田ワシントン村ほどゴージャスではありませんが、私有地と公道の連続性、住宅地内の公道へは入口を絞るといったあたり、似た発想だなと感じました。時はバブル絶頂期、「豊かな住宅地とは何か」ということを考えた一つの結論がこの姿だったのでしょう。
こういう町は住む人がよく納得して住まないと、町並みの統一を保つことがしだいに難しくなってきます。門扉がない門柱デザインが皆統一されているのは、入居者が各自閉鎖的な門を作ってしまわないよう、あらかじめ造って引き渡したのでしょう。維持管理や改築に関する取り決めをどの程度の縛りにしているのか、興味が持てるところでした。
塀を立てないオープン外構という考え方は、千里ニュータウンでも団地・戸建ともに当初はそのように造られました。(戸建では、造成したノリ面の上に、簡易な竹の柵だけが造って引き渡されました。)しかし皆早々にノリ面を石垣に改築して敷地いっぱいまで出し、生垣を保っているお宅も多いですが、オープンさは当初より減ってしまったと言えます。むしろ誰もがどこからでも通り抜けできる団地の敷地構成のほうに、当初の精神は残っているのではないでしょうか。

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