EXPOブックチャレンジ…万国博覧会と人間の歴史

昨日にひきつづき、「ブックカバー・チャレンジ」のEXPO版。『万国博覧会と人間の歴史』(2015年 思文閣出版、佐野真由子編)。実はこの本、昨日ご紹介した『万博学』の1冊目にあたります。同様に、多彩な論者による多様な角度からの、万国博覧会に関する論集です。目次はこちらから見られます。

あとがきによれば、この研究主体(万国博研究会)は2010年からスタートし、この第一論集がまとめられた2015年はミラノ万博の開催中。2025年万博の大阪誘致は「検討が始められた」ばかりで、誰もまだ本気にはなっていなかった時点でした。「そんなこと言ってる人がいるな~」というぐらいの感じだったでしょうか。

万博は「やってくるもの」ではなくて、「過去の歴史の集積」として、地道~に研究者たちが再評価を試みていた雰囲気が、この一冊目には凝縮されています。世間の関心がどうであれ、170年間連綿と万博は続けられ、時代の波を乗り越えてきたわけです。

最初の万博とされているロンドン博があった1851年は、日本では江戸時代末期。黒船もまだ来ていず、桜田門外の変もまだ起きていません。日本が最初に万博に参加したのは幕末も押し詰まった1867年のパリ博で、出展主体はなんと徳川幕府と薩摩藩、佐賀藩でした(一緒に出したわけじゃないですよ)。

千里丘陵に万博がやってくるはるか昔から「万博」はあり、そこから「近代五輪」も生まれていきます。

万博の時代的スケールを感じさせる入魂の一冊、9,200円(税別)。やっぱり重い!(2冊目の『万博学』より小判なのにずっしり重く、分量が増えた2冊目で紙を軽くしようとした苦心の跡が伺えます。)『万博学』とともに、「万博の本場」千里と大阪の図書館では備えてほしい一冊です。

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  1. 2021年 1月 17日

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