
万博も始まって約1/3が過ぎてしまいました。「情報飽和時代の万博」らしく、プラスマイナス、もういろいろな関連情報が飛び交っていますが、そういうディテールに巻き込まれないで、でも万博の本来価値をしっかり味わいたいという方には、コモンズ(COMMONS)と呼ばれる共同展示館にふれないわけにはいきません。
小さな国…とつい言ってしまうのですが、自力で大きな展示館を出せない「途上国」を5ヵ所の大きな体育館のような建物に入れて、コーナーを区切って出展してもらい、参加のハードルを下げようというやり方。出展主体が約200ある中で、半分近くがこのコモンズ(COMMONS)に収まっているので実は大勢力です。
1国分の面積は2DK~3LDKのマンションぐらいです。パネルと映像、あとは現物少々…いろいろあるので投資お待ちしています…という国も多いですが、狭いながらも精一杯工夫してアピールしている国もあります。たとえばコモンズDのパキスタンは、国内で産出するピンク色の岩塩一点押し。幻想的な空間になっていて、放出される成分には健康効果もあるとか…。展示の上手い下手は国の大小とは関係ないのです(逆に言うと、立派な独立館を出していても展示がなんだかな…という国はあります)。ウクライナはコモンズのC館にあります。

解説のスタッフも、その国から来られたであろう方(やる気いろいろ)、協会から派遣されたのか日本人の方(概してていねい)、いろいろです。
5つあるコモンズの割り振りはサブテーマとの関連によって分類されていて、「アジア」「アフリカ」…という分け方ではありません。これは会場全体の配置の考え方と同じです。「途上国が多い」というだけで、実は面積は日本よりはるかに広い国もたくさんあり、これから世界に打って出てきたい「グロース市場」みたいな国が集まっていると思うと、わくわくします。マンションの一室のような区画から、国の何を訴えるか?これから人口が増えるのはそういう国ですから…中にはやがて「万博を主催する」国もあるかもしれません。長生きして見に行きたいものだ…
「そもそもその国がどこにあるのかわからないよ」という方には、頭上のバナーを見れば、世界地図の中でどのへんにあるのか、わかるようになっています。つぎつぎ見ていると印象が混ざりがちになりますが、お気に入りを決めて繰り返し見て、何かだけでも憶えて帰りたいですね。
このような集合型の展示館は、1967年のモントリオールから始まったそうです。1970年大阪でも屋外型のプレハブを集めたような共同展示館(インターナショナルプレース)が何ヵ所かにありました。今回は屋内型なので空調も効いているし、雨の日も逃げ込みやすいです。集合形態が屋内化していくのはショッピングモールの変遷と同じだな。
5月31日には吹田市立博物館で「みんぱく」の吉田憲司先生の講演があり、コモンズに出展してもらうにあたって、主催国である日本側からどのようなアドバイスをしたか…という貴重な話が聞けました。簡単な記録は、こちらをどうぞ。やっぱり千里は夢洲につながっているんだな。
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