「メゾネット」という稀少な存在

藤白台の真ん中にある稀少な存在をご紹介するのを忘れてました。その名はメゾネット。A27棟です。
このメゾネットは藤白台の公社A棟で、たった一棟の分譲住宅。「メゾネットって何よ?」と思われる方は、写真をよ~くご覧ください(撮影は2001年6月)。6階建ての建物が、2層ずつセットになってるのがわかりますね。ここは集合住宅なのに一戸の住戸の中に一階と二階があり、室内に専用階段や吹き抜けがあります。玄関やLDKは一階、個室は二階…と、まるで戸建てのように空間の使い分けができる構造が取り入れられたこのような集合住宅を、maisonette=複層住戸と言うようです。ヨーロッパに多いんだって。
さまざまな住宅が試みられた千里NTの中でも、このメゾネットは藤白台と佐竹台に1棟ずつしかありません(たしか)。1960年代はまだ集合住宅の蓄積も少なく、多くが賃貸住宅として造られた中で、数少ない分譲の公営住宅として造られたことも、この棟の先進性を物語っています。
藤白台では他の公社A棟が全部できてから最後に造ったので、「A27」という一番高い数字が割り振られています。たしか1967年建築だったかと…。タイル張りの外観も、さりげなく高級感を演出しています。
1960年代初頭、「団地」という存在はまだ数が少なく、「団地族」という名前は稀少性と先進性のシンボルでした。しかしその後10年で、団地は大量に急速に建設され、その最たるものが「ニュータウン」でした。量的に普及する中で質的なバリエーションの展開を図った実験的な存在の一つが、メゾネットだったのです。
メゾネットはその後、日本で多数派になることはありませんでした。室内に階段スペースを取ったりするのが効率的でないと敬遠されたのでしょうか?でもネットで調べると、こつこつと少数派のまま、今でも造り続けられているようです。
※追記:pigmagさんからのご指摘で、このメゾネット室内には吹き抜けはないそうです。記憶違いで失礼しました…

関連記事

コメント

  • トラックバックは利用できません。

  • コメント (24)

    • tsugio
    • 2007年 2月 17日

    「メゾネット」という名前はあの頃(昭和40年代)の小学生の間でもメジャーで「メゾネット」=「団地の2階建て」と子供たちも理解していたと思います。
    「団地族」と言えば、ニュータウンでは、あの頃は普通に使っていた言葉や物が今は死語になったり使われなくなっているものがありますよね? 
    例えば....「カギっこ」-私も鍵を首からヒモでぶら下げていました。あの頃、共働き世帯で自宅のカギを持っている子供たちのことをこう呼んでいましたよね。
    また、「ダスターシュート」。サッカーの技ではなく (^_^;) 私が住んでいた団地には階段の踊場に取っ手付きの小さな扉がありその中に家庭ゴミを捨てていました。それを「ダスターシュート」と呼んでいたと思います。ところがいつの間にか使えなくなったと記憶しています。
    あの頃は当たり前のように使っていたニュータウン独自(?)の言葉を集めてみるのも面白いかねしれませんね。(*^。^*)

    • pigmon
    • 2007年 2月 17日

    延藤安弘さんの『こんな家に住みたいナ』のなかに我が国で「団地」という用語がいつから始まったかが書かれています。最初の用例が「・・戦前の都市計画法の中の『一団地の住宅経営』・・」、「一般用語として定着したのが1958年に『週刊朝日』が鉄筋コンクリートの集合住宅居住者が百万人に達したことを特集して『ダンチ族』と呼んだことに始まり・・・この頃の『団地族』とは一種独特のプレステイジをもった人びとを意味していたのです。」(pp.65-66あたり)ということです。
    延藤先生は集まって住まうことを研究され、コーポラティブハウスを推進してきた方なのですが、ちょうど3月3日の民博の公開共同研究会「共生型集住の可能性 ─ 家族・コミュニティ・地域・環境の視点から ─」でその20年の歩みをご発表になるようです。
    ご興味のある方はどうぞ。参加方法など、くわしいことは、http://www.minpaku.ac.jp/research/jr/04jr059_03.html
    をご覧ください。

    • pigmon
    • 2007年 2月 17日

    すみません。アドレスがキチンと入りませんでした。正しくは
    http://www.minpaku.ac.jp/research/jr/04jr059_03.html
    です。

    • 奥居武
    • 2007年 2月 17日

    ややマニアックな住宅用語の「メゾネット」も、藤白台では知らない子供はいませんでしたね。この建物は少し遅れてできたので、40年間、三丁目では一番若い建物でした(今でもそうです)。メゾネットが出来たとき、そこの子が学年途中に転校してきたので、「転校生の子が住んでる少しオシャレな団地」というのが僕のメゾネットのイメージでした。
    ダスターシュートも…千里NT展に同級生が来てくれたとき、その話で盛り上がったことがあります。使われた期間はそんなに長くなかったけれど、団地風モダンライフには欠かせない逸品でした。

    • 奥居武
    • 2007年 2月 17日

    このブログでは、コメント欄に長いURLを入れるとキチンと表示されないことがありますが、前後をドラッグ→コピーしてブラウザーのURL欄に貼り付けると、ちゃんと全部入るようです。

    • pigmag
    • 2007年 2月 18日

    はじめまして。いつも楽しく拝見させていただいています。
    「うちやぁ~!」今日は、思わずコメントしてしまいました^^
    実家です。今でも両親は住んでます。
    でも、室内に吹き抜けはないですよぉ???
    わたしも「かぎっこ」でした^^

    • 奥居武
    • 2007年 2月 19日

    あっ!pigmagさん、ここのメゾネットに吹き抜けはありませんでしたか!失礼しました。むかーしその転校生のおうちに遊びに行ったのですが、どうも記憶が雑誌などで見た写真と混ざってしまったようです。なんだかモダンな建物だったので記憶が実際以上に美化されたかも?でもメゾネットは貴重な存在ですから、公開してもいい写真とか思い出話とかありましたら、右の「メッセージを送る」でご連絡くだされば管理人奥居武のみに見える形でメッセージが届きます。これからもよろしくお願いします。

    • yoyo
    • 2007年 3月 13日

    はじめてコメントします。芋掘りのNさんからこのブログをご紹介いただきました。2年程前にこのメゾネットに引越してきたものです。もともと古い建物が好きでこのメゾネットは外観・内観・周辺環境すべてに一目惚れして即決で入居しました。奥居武さんが記憶にあった吹き抜けというのはもしかしたらベランダの印象だったんじゃないかなと思います。ベランダが2階部分まで吹き抜けのようになっているのでベランダから広がる外の風景がとても開放感があり本当に素敵ですよ。まだまだこの周辺には詳しくないのでこれからもおじゃまさせていただきます。

    • みゅら
    • 2007年 3月 16日

    「メゾネット」分譲や賃貸の違いがわからなかった小学生にもメゾネットはリッチな響きでした。
    前に建物が建つ危険?もないし、ベランダからの眺め気持ちいいでしょうね。今でもちょっと憧れの響きがします、「メゾネット」
    ダスターシュートは画期的なアイディアでしたが、階上から1階に落とすゴミの袋が破れたりして掃除がかえって大変だったようで、使われていたのは短かったですね。
    そういえば・・・団地内には焼却炉なるものがありましたね・・・昔。燃え盛る炎が見えて、考えてみれば子供には危険なような??でしたけど、当時はのんびり?してたのか普通に?ゴミ燃やしてましたね。

    • 奥居武
    • 2007年 3月 19日

    yoyoさん、みゅらさん、一週間ほど海外出張に出てまして、ご返事ままならず遅くなりました…。yoyoさんはメゾネットにお住まいなんですね。昔も今も「メゾネット」、オシャレな存在ですね。藤白台に一棟しかないというのがまた希少価値をかきたてます。ダスターシュートは昔の団地の話をすると必ず盛り上がるネタで、こちらはモダンライフを狙った画期的な新設計だったものの、定着に失敗した例ですね。あまり絵にならないのですが、いつか取り上げたいと思っています。

    • 健ちゃん
    • 2007年 7月 18日

    ありましたありましたッ。ダストシュート!下に野良犬を匿って怒られた思い出があります。メゾネットには同級生が住んでいて、ちょっとエエとこのお嬢さんって感じでした。因みに私も小学校のかぎっ子学級に弟共々お世話になりました。

    • 奥居武
    • 2007年 9月 09日

    千里ニュータウンの公社メゾネットは、藤白台と佐竹台のほかにも、新千里南町にあることがわかりました。現在建替工事中の区画の南側です。北大阪急行の車内からチラッと見えます。

    • 今のままで
    • 2008年 7月 06日

    立て替えの話しが出ています。ご存じですか。

    • 奥居武
    • 2008年 7月 07日

    はい、聞いております。このメゾネットは分譲ですから、所有者の方々がどのように最終決断されたかは伺っておりません。

    • とりあえずは
    • 2009年 5月 22日

    大規模改修したんじゃなかったかな。

    • 奥居武
    • 2009年 5月 23日

    この数年の間に「大規模改修」した様子はないですね…建替プランはどうなったんだろう?

    • miyu
    • 2009年 8月 23日

    こんにちは。新千里南町メゾネットに住む事になった者です。(分譲賃貸です)
    住人の方曰く、新千里南町は投票1%差で立て替えが無くなったそうです。
    この先10年は無いだろうとのことで、あちこちのお部屋で改装や工事がなされていました。
    住人の方も立て替えが無くなったのでリフォームをされていましたよ。
    壁や廊下、扉のカラーも綺麗に塗られていて、それこそヨーロッパのような素敵な建物になっていました。
    賃貸ですが皆に自慢したいくらい素敵な所だと思います!

    • 奥居武
    • 2009年 8月 23日

    miyuさんこんにちは。千里ニュータウンに公社のメゾネットは3ヵ所造られましたが、佐竹台は建替中、藤白台は検討中、新千里南町は改修という状況ですね。なかでも新千里南町はメゾネット三姉妹の末娘ということになりますので、きれいに長く住んでいただければと思います。当時の公社に「量だけでない、質を感じられる団地設計」に力を入れた設計者がおられて、メゾネットはその路線の意欲作であったと伺っています。改修した屋内も見てみたいですね。

    • miyu
    • 2009年 8月 24日

    実は現在、竹見台のスターハウスに住んでいまして、10月に新千里南町へ引っ越す事になりました。
    公団の建物に魅せられて色々見学しているうちに、メゾネットに巡り会う事が出来たのです。
    屋内は公団の良さがいくらか残っています。(もっと残してほしい部分もあったのですが、賃貸なので贅沢は言えません)奥居武さんにぜひ見にきていただきたいです!

    • 奥居武
    • 2009年 8月 25日

    リフォームした古い団地に住む…新しい流れになるかもしれません。楽しみですね。ところでやぼな質問ですが、竹見台は公団(UR)、こんどひっこされる南町は公社ですよね?

    • miyu
    • 2009年 8月 26日

    すみません。。ご指摘の通り、竹見台はUR、南町は公社です!

    • 奥居武
    • 2009年 8月 26日

    スターハウスからメゾネットへお引越しとは、団地マニアにはこたえられない経歴でしょう。南町のメゾネットも外観の写真は撮っているのですが、ぜひ引っ越されたら見学にうかがいたいものです。

    • miyu
    • 2009年 8月 26日

    室内は大幅に改装されていますが、細部には当時の面影が残っていると思います。
    無事引っ越しましたら、ぜひご連絡させていただきますね!

    • 奥居武
    • 2009年 8月 28日

    はい、それでは画面右下の「メッセージを送る」からご連絡お待ちいたしております。スターハウスも傑作団地ですから写真撮っておいてくださいね!

好評発売中!

樹林舎刊の写真集『吹田市の昭和』の千里ニュータウン部分を中心に、コラム執筆や写真のアレンジ、事実関係の確認などを担当しました。限定1,500部。書店でお申し込みください。

好評配布中!〔無料〕

千里ニュータウンの最新状況がわかる「千里ニュータウンマップ2018」の制作をお手伝いしました。このマップは南千里駅前の「吹田市立千里ニュータウン情報館」で配布しています。2013年版も在庫があります。

好評発売中!

吹田市立博物館とパルテノン多摩の2018年共同企画「ニュータウン誕生」の展示・図録制作をお手伝いしました。図録購入(吹田版)はこちら。多摩版はこちら。(内容は同じです)

アーカイブ

ページ上部へ戻る