すこし正月らしく(ガラにもないことですが…)集合住宅と戸建住宅の未来を「予想」?してみました。
…とは言っても、建替でどうなるとかよりはもっと長い…30年、50年単位でどうなっていくか…?それも千里だけじゃなく日本全体も含め…というダイタンムボーな試みですが…僕は専門家でもないのですが…まあ、正月ですからおつきあいください。
千里ニュータウンはよく「団地の町」と言われますが、実際には集合住宅と戸建住宅があります。面積で半々、人口で7:3か8:2ぐらいでしょうか。全国的にはこの比率は2:8ぐらいらしいです。都市部に…とくにニュータウンなどに住んでいると、もっと集合住宅率が多そうに思えますが、日本は広いですからね…。
高度成長期、日本の人口は増えるとともに都市に集中し、千里のような集合住宅に多くを割いた町が増えました。その後も地価高騰などで経済的にも「土地を高度利用」する必要が続き、集合住宅の比率は高くなってきました。「住宅すごろく」という言葉があり、最後は「郊外の庭付き戸建」が「あがり」の夢と言われながら、一方で「家を買うこと」は高い買物になっていきました。
ところが2005年、日本の人口は「減少」に転じました。これから先も減っていくことは確実です。…となると世の中の変化の大前提が逆になるわけで、「土地の欠乏」は解消し、どんどん高層化しなくてもよくなっていくのか…?やっと集合住宅から戸建住宅へ住めるようになっていくのだろうか?
…とも考えてみたのですが、なんだか最近、「人口は減っても集合住宅率は上がり続けるんじゃないか?」と思えてきました。2つの観点があります。
●1.超高齢化社会を生き抜くためには集合住宅のほうが有利。
この中にはさらに住民側と行政側からの理由があって、
◎1-a.高齢世帯が増え続け、かつ単身世帯が増え続けると、戸建住宅を維持するのは大変。
かつて「芝生のある家」は憧れのマイホームの典型だったわけですが、これが高齢になり子供が独立していくと…もう、手が回りません。防犯上もカギ一つで守れる集合住宅のほうが安心…と、そういう理由で戸建からマンションに引っ越すお宅の話を、千里でもしばしば聞きます。かつては「両親+子供2人」の世帯が「標準世帯」と呼ばれ、千里ニュータウンもそういう世帯構成を大前提に住宅供給がされていますが、時代は大きく変わりました。2007年、ついに日本全体で一番多い世帯の形態は「単身世帯」になったと言われています。(これは晩婚・非婚化と、トシとって配偶者が亡くなる場合と大きく2つあり。)日本全体でそうなのですから、都市部ではもっと単身世帯化は進んでいます。トシとって単身で戸建を維持できるか…?そう考えると「集合住宅のほうが現実的だ」という答えが出てきます。
◎1-b.行政も、住民が固まって住んでいるほうがコストを下げられる。
超高齢化社会は総人口に対する生産人口が減る社会です。医療や介護にもカネがかかります。つまり行政コストを必死になって下げないと、立ち行かなくなります。そういう社会では住民が広く薄く住んでいるよりも、都市の中心部に近い場所に固まって住んでいるほうがサービス供給には便利です。…となると郊外拡散よりも都心集中の圧力が強まりますから、集合住宅率は上がるのではないか?人口が減っても、いや減るからこそ、固まって住む、という都市構成になっていくのではないか?…千里ニュータウンの場合、「郊外」とは言っても立地は大変に良いので、微妙なポジションにあります。もっと遠い郊外から人口を吸収し、都心に移って行く人もいる…と考えると町の吸引力はトントンで推移するのではないでしょうか。(最盛期の13万人程度まで盛り返すことは可能でしょう。)
●2.地球温暖化を防ぐには集合住宅のほうが断然有利。
(これはまた…「地球かよ!」と言われそうですが正月ですから…。)CO2排出を減らすこと。これは私たちの生活実感以上に、重大な国際公約となっています。京都議定書がいよいよ発効し、日本は2012年までの間に、1990年当時よりCO2排出量を6%減らさなくてはなりません。ところがこれはすごい難題…実際には私たちの生活スタイルは、1990年(バブルの絶頂期です!)よりもCO2をじゃんじゃん出すほうに変化しているからです。電気製品やクルマの省エネ性能は上がっても…1990年当時はこんなにパソコン使ってなかったし…省エネが進んだ以上に贅沢をしてしまっているのが実態です。アメリカが離脱したことを世論は責めたけれど、生活を変えることの難しさを考えると実は彼らはすごい正直者だったんじゃないか…?「省エネのために私たちができること」の新聞記事を見て、そんな感想さえ僕は持ってしまいました。でもやはりCO2は減らさないとマジで地球がヤバイ。…となると根本的な変革が必要です。そこで集合住宅。集合住宅の消費エネルギーは、戸建住宅の6割程度ですむ、という話を読んだことがあります。それは壁・天井・床の向こうが隣家であれば…光熱費はかからないでしょうね。エレベーター使ったり水を汲み上げたり集合住宅ならではの消費があったとしても…。ほんとうは大家族に戻るのが一番省エネなのですが、それが皆の意向と合わないとすると…もし地球資源が将来深刻な奪い合いになった場合(すでに原油価格が高騰していますが…)、エネルギーをたくさん使う戸建住宅に税金をかける…といったことが起きないと言えるでしょうか…?
「少人数世帯だけど建物は一緒」。この道が地球を守るためにもベストの正解になっていくのだろうか…?と、酔っ払ってませんが考えたりする正月なのでした。もちろん集合住宅、戸建住宅、それぞれの良さや好みはありますから、個別ケースについては別問題でございます。お粗末様でした…
※写真は千里ニュータウンのジオラマ。上から見ると集合住宅と戸建住宅の面積比がわかります。元は南千里の千里開発センターに、1970年以降は千里中央の千里センターにあり、今は吹田市立博物館で見られます。(2020年追記:その後、2012年に開館した南千里駅前の「千里ニュータウン情報館」に移されました。南千里→千里中央→岸部…と遍歴して、ほぼ元の場所に戻ってきたことになります。)
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