ニュータウンで成人した「二世」が外へ出て行ったのは、団地の部屋が狭かったからだ…という説があります。
しかしそうなんでしょうか?たしかに「ニュータウン二世」である僕の同級生を見ても、多くが「外へ出て行った」ことはたしかです。その多くはニュータウンが好きで、また千里の利便性を評価しつつ、親と同じ屋根の下で所帯を持つことはできなかった…団地ではそれは難しいことです。
じゃあ戸建ての友人は?…親が建てた家を「二世帯住宅」に建て替えて、昔と同じ住所に暮らしている友人もいます。(戸建ての建替ブームは団地よりも早く、バブル前後にありました。)でもやはり戸建てでも…家の広さに十分な条件があっても、出て行った友人のほうが多いような気がします。図書館でバブル期の千里ニュータウンの記事を見ていたら仮想二世帯住宅…つまり親が子供と暮らそうと二世帯住宅に建て替えたのに、子供は戻ってこない戸建てが多い…という記事がありました。(3年前にNHKでこんなドラマもありましたね…舞台はやはり郊外の坂が多い住宅都市でした…)
家が狭いから出て行ったのではないのではないか?僕は、「ニュータウン二世」は、団地でも戸建てでも、親世代が始めた「核家族の伝統」を引き継いでいるだけのような気がしてなりません。つまり二世から見れば、自分の親たちは、その親を田舎に残して都会に出てきているわけです。もちろん親をニュータウンに連れてきた「一世」もいましたが、ニュータウン初期の高齢化率の低さでも検証できるように、そういう家族はごく少数でした。多くの「二世」は、「おじいちゃんおばあちゃん」が同居していない環境で育ったわけです。
多くの「一世」が自分の親を田舎に置いて出てきたのに、子供たちが外に出たまま戻って来ない…とぼやくのは、(気持ちとしてはわかるのですが)「あなた自身の生き方を見習ったのではないですか…?」と、そっと疑問を投げかけたくなります。「独立した個を持つ」ということは、戦後教育が一貫して教えてきたことではなかったのでしょうか。心情の問題はおくとしても、一世も二世もサラリーマンであれば、「会社の意向」ってやつで転勤があることも40年前と同じです。40年前に昔ながらの「地縁」を切った時点で、ニュータウン人は新しい家族観に踏み出してしまったわけです。
では親子の縁は切れたままなのか…?というと、むしろ集合住宅で、親の近隣にもう1戸借りるなり買うなりして「同居」ならぬ近居をしている友達もチラホラいます。最近までニュータウン内で新しい物件はなかなか出なかったため、上山田や小野原、五月が丘などの近接地に「近居」することになるわけですが…。
いまニュータウン内の団地建替が始まり、環境の変化に不安もあるわけですが、戸数が増えたところに友達が戻ってくればいいのにな…という期待も、正直言ってあります。
新しい暮らし方を提案してきたニュータウンは、高齢化した親と子供の関係にも、新しいスタイルを生み出しつつあるようです。ただ、「親が高齢化」と言っても、前期高齢者と後期高齢者の場合はまったく話は違うわけで、「別世帯の親が要介護になった場合」は、これから多くの核家族親子が直面する、大きなチャレンジになるでしょう。

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コメント

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  • コメント (3)

    • みっちゃん
    • 2008年 2月 27日

    施設入所の方でも、日本各地からいらしています。子どもが吹田にいるからここに入ったと話されます。また地域でも「呼び寄せ老人」が増加し住民票は田舎のままの方も。そんな方は介護サービスも受けられませんし、地域からも孤立してしまいます。

    • 閑子
    • 2008年 2月 28日

    子どもたちが巣立ち、入替わりで高齢の両親を迎えました。当初近くで別居。父がまもなく認知症になり施設へ。今母と二人暮らしです。私は末っ子で今の形は想定外。夫は単身赴任10年以上。今や双方万事自分流が強く今後単純な同居は無理かも。かつて公団住宅抽選に20回はずれましたが最近は公団、空きだらけでセカンドハウスさえOKです。2軒確保して『おひとりさまの老後』X2の暮らしもあり。家族、友達・・・老後だれとどんな住み方を選ぶかに人生総決算がかかっているような・・・

    • 奥居武
    • 2008年 2月 29日

    「深い」コメントをありがとうございます。勤労年齢の両親と子供2人…という世帯を「標準世帯」と呼び、千里ニュータウンは大半が標準世帯を想定して作られているわけですが、いまや家族も多様化して「標準世帯」はちっとも「標準」でなくなりました。昨年(2007年)にはついに、単身世帯が全国で一番多い「世帯」の形になったとか…。多様な世帯を包容できる柔軟なまちづくりが必要です。大勢が「想定外」の事態に直面しているんだと思いますが、「標準」という言葉に縛られず、誰もがしなやかに生きていける…と考えればいい時代なのかもしれません。

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