ステキな一軒の外観をお借りして、北海道スタイルの一戸建を解説しましょう。ニュータウンスタイル…というより、北海道の戸建に広く見られる特徴です。
●塀も柵も門も門扉もない。→これが、北海道の住宅街が広々と見える最大の要因です。地元の人に聞いたら「雪を投げる(捨てる、という意味の方言ね…)」のに塀はジャマ!という実用上の理由らしいです。大量に積もると、道路も除雪しないといけないし、玄関の前の雪もどかさないと外に出られない。…つまり両側から雪が集まってくるのが敷地境界線のあたりで、そんなところに障害物を作らないほうがよろしい!塀なんか作ると死角ができて防犯上よろしくない…という発想。基本的に道路と宅地はツライチ(同じ高さ)。内地の人間が最近ナーバスになって塀が厳重になる傾向にあるのはなんなんだろう?…と思っちゃいますね。…というのと同様の理由で、植栽は低く作る傾向もあるようでした。(単に気候のせいか?)
●積雪が自然に滑り落ちるための勾配屋根。→入口と逆方向に落とすのが原則。そりゃそうだ、入口のほうに落ちてきたら死活問題です。このお宅も裏側の屋根が急勾配になっていますね。この考え方と逆に、陸屋根で雪が落ちないように、その代わり雪の重みに耐えられるように造っておく…という設計か、どちらか。
●屋根つきガレージ+もう1台分のカーポート。→冬にクルマを格納するしっかりしたガレージは必須!1台で足りるのか…?と聞いてみたら、2台クルマがある家も普通だそうで、1台は中に、もう1台は外のカーポートに駐車するケースも多いとか。2台分のガレージがあるお宅も(少なかったですが)ありました。
●玄関前の「雪落としポーチ」。→このお宅は掘り込み型になっていますが、この外に扉をつけて二重玄関にし、外気が直接家に入らないようにする…というホテルの入口のような設計がごく普通でした。ひさしの端に作る外玄関は外開きにすると雪が積もった時に開かなくなるため、引き戸にしているお宅も。
●色彩感覚!→内地だったらペンションか?…と思うようなカラフルなお宅がそこかしこに…(全部じゃありません)。ロシア文化の影響?雪が多い土地では自然と色彩を求める?
…という要素が複合して、「どことなく異国情緒」と内地の人間が感じる家並みが出来上がるわけです。お隣の家についてる煙突も、北海道らしいモチーフです。最近石油が上がって、北の人は特に大変と聞きました…。
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