前のブログで紹介した竹見橋から南地区センターに入ってくる歩行者用デッキを東に向かうと、今は新しいマンションの前で行き止まりになっています。
建替前は、この動線はまっすぐ東へ建物(阪急の寮+オアシス)の中を突き抜けて地表面に続いていました。その出口横には高野台に続く歩道橋「高野橋」のスロープが連なっていました。(以前の平面図はこちらのpdfの5ページ)
この建替に際しては、高野橋は残されましたが、歩行者動線は新しくできたマンションを突っ切らないように南側(写真右)に鉤型に迂回させられ、しかも同一平面ではなく数段階段で上って進むように変えられました。バリアフリーは写真右のエレベーターで確保されていますが…。
こうしたヤリクリの結果、今では歩行者動線を民間マンションが「通せんぼ」するような景観になり、高野台との連結性が損なわれてしまいました。高野台方面に本当に通り抜けられなくなったわけではないし、迂回はしてもマンションの敷地内に公共通路を確保はしているので配慮がないわけではないのですが、原型プランのスマートさ、視界の抜けが失われたことは、非常に残念です。元はなかった段差まで作ってエレベーターにするなんて…。(建替前も、このデッキが高野橋に直結していたわけではないので、その点は洗練を欠いていたところもありますが…)
手前のデッキも、センタービルの建替時には撤去される予定になっています。つまり再配置が完成したときには、この東西の歩行者動線は全く変えられてしまうわけです。
ここは既存住民がいない地区センターの敷地なので、反対の声も出にくかったのかもしれません。いま、千里ニュータウン内であいつぐ「リニューアル」について、基本的に住民は協力的であると思います。初期の団地の老朽化は、暮らしている人間にとっては「早くどうにかしてほしい」ことでもあるし、もめて話が長引くことも、誰もが避けたいと思っています。千里の高齢化は「待ったなし」のところまできている。「建物を高層化して土地を売り、民間マンションを入れる」方針にも、「なぜ土地を売らなければならないのか?」「なぜ大阪府の財政のツケを千里の環境で埋めようとするのか?」と多くの住民が疑問を持っていますが、それを言っても仕方がない。マンションができて若い家族が入ってくれば、ニュータウンも再活性化するだろうし、一度ニュータウンの外に出た子世帯も帰ってくるかもしれない…。
いろいろ悩んで、私も「高層化はダメだ」とか「民間に売るな」とは言いません。竹見台のように最初から高層で「ニュータウンらしい」町もあるし、40年前のように何もかも公的セクターが担う時代でもありません。「民間」は商売優先で「公」ほど信用できないという考え方は、古い。民間には民間のノウハウが、今は蓄積されています。
…しかし…こういう例を見てしまうと、住民はやはりもっと「辛口」にならないといけないのではないか?住民が「ものわかりがいい」のはダメなんじゃないか?と、心が揺らぎます。たとえこの敷地を売ったとしても、もっとスマートな解決があったはずなのに…。
「千里ニュータウンらしさ」を支える「連結性」とは、何だったのか?「失ってはじめて知る」のでは、遅い。日本で最初のニュータウンの更新には、住民も専門家も行政も、考えて考えて考え抜かないと。いろいろ事情はあったとしても、個々の建物だけではなく、町全体を元より良くする更新でないと!
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