団地移転の風景-11.一棟だけの、ダブル凸型ハウス

高度成長期の団地というと同じ型の棟をいくつも並べた無機的なイメージがありますが、実は一棟一棟いろんなバリエーションがあります。地形や敷地の形など、現場の条件が異なるからです。
「このタイプの棟は、たった一棟しかないんです」と、昨秋団地ツアーをやったときに団地マニアの皆さんから教えていただいたのが、藤白台公社のA2棟。この棟は藤白橋の正面に見える棟で、長年見ててもそんな稀少性など考えたこともなかったですが、あーたしかにベランダ側から見たときにデコボコしているなと…
「これはダブルスターハウスの変型です」というのがマニア的解説。…それは何か?団地マニアに人気が高い「スターハウス」ですが、中にはそのスターハウスを2棟くっつけたような棟があり、それを「ダブルスターハウス」と言うんだそうです。この藤白台公社のA5~A8棟はスターハウスを凸型に整形したような「変型スターハウス」ですが、その凸型を2つくっつけて凸凸型になっているのが、A2棟。
一般的なスターハウスや、A5~A8棟の凸型棟では1フロアに3戸の住戸がありますが、このA2棟は×2=6戸の住戸が1フロアにあります。たぶん敷地の関係で、階段3列の板状棟を造るには東西幅が狭く、南北の奥行に多少ゆとりがあったために、こういう設計を1棟だけ採用したのではないでしょうか。
もう今は建替解体のため囲われていますが、記録のために最後の姿をここにとどめておきます。

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