参加しているNPO「千里・住まいの学校」の「まちあるき」で、千里ニュータウンの戸建住宅街を探索。協定や地区計画がいろいろある住区では、敷地分割はたしかに少ないのですが「今」を感じない…。「若い人が来たくなる町になっているか?」という観点で見ると、意外と「古風な常識にとらわれている」感じがしました。

およそ半世紀前、千里ニュータウンは「最先端の住宅地」として開発されたはずですが、戸建街では、一定の広さとセットバックさえ確保していれば外観に対する規制は驚くほどなく、家主の趣味まかせでさまざまなスタイルの家が混ざっています。しかし意外と「お屋敷風」から自由になっていないというか、家のスタイルに関係なく「見越しの松」を備えている家が多かったりするのは発見でした。

当時、庭のしつらえを自分で造った人などほとんどいなくて、造園屋さんに頼んだ家がほとんどでしたから、彼らが「プロの常識」で、「新しいこと」より「立派に見えること」を重視したのかもしれません。家は人生最大の買物と言われますから、そこで斬新な冒険をする人はあまりいなかった。本質的に「家」というものは保守的なものかもしれません。

しかし半世紀の時が流れ、昔からの住民が「いい町にしよういい町にしよう…」と規制をかけるほど若い人が入りにくい町にしてしまっているということは、ないでしょうか?時代を読まないと、町は生き残れません。

具体的な住区名は避けますが、戸建と単一種類の集合住宅がバス通りで大割りに分断してしまっている住区ほど、コミュニティが「2大勢力」で固まって硬直的になっていることも、気になることでした。いろいろな種類の戸建・集合住宅を細かく混ぜ込んだ住区のほうが、約半世紀たって活気があるように思われます。千里ニュータウンは公共事業として開発された経緯から、「ソーシャル・ミックス」の考え方で住民層が所得などで偏った町にならないように造られたはずなんですが、その「配合の差」が、半世紀たって「町のまとまり」などに表れてきているようです。

町は歩いてみると、やはりいろんな発見があります。今年もニュータウンをいっぱい歩こう!

この投稿は2014年1月5日にfacebookに投稿した文章に加筆したものです。

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