「千里モニュメント作品目録」(1970)のページをさらにめくります。『ステンレスの林』に続いて出てくるのは、千里南公園に設置された『日と風と雨に』。寄贈は関西電力。これは現存しています。阪急電車の車窓からも北千里行きが千里トンネルに入る直前、左手(西側)の丘の上に、木の間隠れに見ることができます。
素材は真鍮で、落成当初はさすがにぴかぴか光っています。
作者の辻さんの言葉によれば、18世紀に活躍した木食上人(もくじきしょうにん)が「天下和順日月清明」を願って多数の仏像を作ったのにならって、「世界が平和であるように、また人間が文明の害毒におかされることなく、健康で明るい生活を維持できるように」「千里の居住者の人々のために、そして日本中、世界中の人々のために」これは神仏の姿ではないがそのような祈りの心をこめて作られたとのことです。
辻さんは1910年生まれで戦争を経験した世代であり、1970年にはまだ戦後25年しかたっていませんから、それは切なる願いであったと言えるでしょう。コロナ禍の今、あらためて心に沁みる言葉です。
ところが今、この作品は落書きがひどいのです。中にはナイフで彫り付けたようなものもあります。それだけアプローチがしやすく、出っ張りがあるのでよじ登りたくなるような親しみを持って(遊具だと思われて?)扱われてきた証拠かもしれませんが…。また、当初とは違って周囲の植え込みが成長してしまい、かなり「探す」感覚で行かないと気がつきにくくなっています。
ひどいいたずら(というか犯罪ですね…)はもちろん許せないですが、今の管理者である吹田市には、メンテナンスもしっかりお願いしたいところです。…とか書くとフェンスで囲うとかそういうことじゃなくて!上手な方法を何か考えたいものです。(つづく)
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