クル・ド・サック発見!(イギリス・ウェリン)

(2013年8月に訪問した時の記録です。)ニュータウンとして第二次大戦後開発が続行されたウェリンの駅東側を歩いていくと…出てきました!クル・ド・サック(行き止まり)を示す案内板です。(この標識が、この町だけのデザインなのか、全英共通の正式な標識なのかはわかりません。)

クル・ド・サック (cul-de-sac)はフランス語ですが、住宅地設計の方法論として確立されたのは、アメリカはニュージャージー州の「ラドバーン」という町からだと言われています。クルマ社会が日本より早くから進展し、安心して暮らせる住宅街を造るため、行き止まりのある街区を造って、用がない通過交通は大きなブロックの中に入ってこないようにする街区のデザイン。(歩行者専用のフットパスが接続していて、人だけは向こう側に通り抜けられます。)

千里ニュータウンの…とくに東半分の初期住区にお住まいの方は「あれのことだな」とおわかりになる方も多いでしょう。藤白台の戸建街にもあります。千里の場合は、こんなオリジナルの標識が立っています。

このクル・ド・サック、千里では郵便や新聞など配達をともなう業界から「Uターンするのが不便だ」という声が出て、また入口あたりで火事が起きたりすると中のクルマが出られなくなるなどの懸念も出て、西半分の後期住区では採用されなくなってしまいます。

しかし遠く離れたイギリスの町で、千里と共通の設計を見つけると、たしかに「つながっている町」なんだなと、うれしくなるのは、たしかです。アメリカで開発された設計手法がイギリスに逆輸入されている点も、都市開発の手法は昔であっても国境を越えて行ったり来たりしていたんだなと面白く感じられます。

※ちなみにウェリンの駅西側にもクル・ド・サックは採用されている区画があります。日本の高度経済成長期のニュータウンのように開発は一挙に行われたのではなく、少しずつ進めながら、新しい設計を取り入れていったのではないでしょうか。そのスピードが一挙に上がるのは、1950年代になってからだと思われます。(つづく

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