ニュータウンの匂いがする街角(イギリス・ウェリン)

(2013年8月に訪問した時の記録です。)レッチワースより壮麗な田園都市が広がる駅のオモテ側から、いかにも通用路感満点な跨線橋を渡って駅のウラ側に出て、まったくファンシーではない産業団地のエリアを足早に通り抜けると、住宅街が見えてきます。

これは…ニュータウンぽい!ニュータウン育ちには「これ、これ!」と足が浮く光景です。レッチワースや、田園都市として開発されたウェリン駅のオモテ側よりは「進化した」街区構成の印象を受けます。では、何が「ニュータウンぽい」と感じるのでしょう?

・平坦ではなく、ゆるやかな起伏があるように造成されている。

・道路が直線ではなく、ゆるい雲型にうねっている。

・交差点も、道が直交しないように丸く処理されている。

・細街路でも歩道が広く、道路から住宅までのセットバックが大きく取られている。(歩道のグリーンベルトには駐車用のロットも組み込まれています。)

…一言で言えば「クルマ社会に対応して進化した」とまとめることができます。それが1920年代から1940年代にかけてイギリスで起きた「社会の変化」なのでしょう。この間は郊外開発のコンセプトがアメリカに渡って洗練され、クルドサック(行き止まり)を取り入れた「ラドバーン方式」などが実用化された時期ですが、そのような考え方をイギリスが「逆輸入」したような印象も受けます。つまり「イギリスなのに、なんだかアメリカっぽい」。

ドキドキしながら、さらに住宅街に歩を進めます。(つづく

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  1. 2021年 8月 29日

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