(2019年8月に訪問した時の記録です。)4月13日から続けてきたハワイの追加レポートもそろそろ区切りにしようと思いますが、こちらは、カポレイの東約5キロの場所にあるエヴァ(ewa)地区。ホノルルの中心部から直線で20キロ、湾を回って30キロ強といったところです(アメリカの感覚では、全然遠くない)。古い住宅地と開発したばかりの住宅街が隣り合っていますが、新しいほうの中にちょっと入ったところが、これ。

緑もバックヤードもうるおいも何もなく、ガレージの扉だけがひたすら連続しています。…この紹介の仕方は少し不公平で、こちらは家のウラ側。オモテ側に回れば芝生や前庭は少しは作ってあるし、こんなに町並みがツメツメでも電線は地下埋設だし(空が青い!)、オモテとウラに2本道路を通しているのは「田型配列」が多い日本の分譲地よりは余裕があると言えるのですが、単調な印象は否めません。

アメリカのハワイと言えば楽園的なイメージで広い芝生と輝くような緑…と思ってしまうのは外来者の勝手な想像ですが(観光地はある程度「勝手な想像」を糧にして成り立っているわけですが)、住宅事情大変なんだなーということが伺えるシーンです。

島は土地が限られていて、かつハワイの人口は増えていて、ホノルル都市圏に人口は集中している…。すると不動産価格は上がっていき、しかし「一般人が買える価格」には上限がありますから、新しい住宅地ほど、作りがせせこましくなっていきます。

せめてタウンハウスにすれば町並みが合理的になるのでは…とも思うのですが、「小さくても戸建がいい」という需要は根強くあるのでしょう(とは言っても、日本の都市部よりは大きいですよ)。それに「なぜ高層化して空地をもっと取らない?」とも思うのですが、アメリカでは都心部以外では高層化することに厳しい制限がかかっているようです。メリハリが、ハッキリしています。ここはダニエル・K・イノウエ国際空港と、小さなカラエロア空港の中間にあるため、航空管制との関係で高い建物が建てられないのかもしれません。

楽園は楽園というイメージゆえに人を集めてしまい、そのために楽園でなくなっていく…というのは、どの国でも抱えるジレンマですね。

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

好評発売中!

CITY LIFE刊のムックガイド。「歴史文化」「まちづくり」の取材が丁寧で大充実。「北千里を歩く象」の記事で協力しました。こちらから購入できます。

好評発売中!

樹林舎刊の写真集『吹田市の昭和』の千里ニュータウン部分を中心に、コラム執筆や写真のアレンジ、事実関係の確認などを担当しました。限定1,500部。書店でお申し込みください。

好評配布中!〔無料〕

千里ニュータウンの最新状況がわかる「千里ニュータウンマップ2018」の制作をお手伝いしました。このマップは南千里駅前の「吹田市立千里ニュータウン情報館」で配布しています。2013年版も在庫があります。

好評発売中!

吹田市立博物館とパルテノン多摩の2018年共同企画「ニュータウン誕生」の展示・図録制作をお手伝いしました。図録購入(吹田版)はこちら。多摩版はこちら。(内容は同じです)

アーカイブ

ページ上部へ戻る