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- 塀の中は安全?(成田・公津の杜)
駅前の大きくて新しいマンションの入口で。前の道路にはハンプ(クルマがスピードを出しにくくするためのゆるやかな突起)も設けられ、「安全・安心」のための配慮がなされています。
ただ最近のマンションで気になるのは、入口に集会所を含んだ管理棟を持ってきて、敷地全体を「囲い込んで」しまい、外来者が入りにくくしている設計が多くなっていること…一種の「ゲーテッド・コミュニティ」的な設計が増えていることです。
もともとのゲーテッド・コミュニティはアメリカなどで富裕層向けの高級住宅地セキュリティとして始まったようですが、これを一般化した形態が、日本の大規模集合住宅でも見られるようになってきました。オートロックの発想を、その区画全体に広げたと言ってもいいでしょうか。
しかしよく考えてほしいのは、「囲い込めば安全なのか?」ということです。塀で囲んだ空間は、いったん不審者が中に入ってしまうと、かえって外から中の様子がわかりません。富裕層向けの住宅ならば「人をたくさん雇う」ことでセキュリティを維持できるかもしれませんが、それにはコストがかかります。
それに…こういう設計がはやるのは「子供の安全」を思う親心が後押ししているのだと思いますが…子供は24時間365日、さらに言うなら一生を「塀の内側」で暮らしていくわけにはいかない。どこかで「外の世界」とわたりあう耐性を身につけないといけないわけです。
千里ニュータウンは町全体が「周辺緑地」で囲まれ、「外の世界」(乱開発)が入り込まないようにされていますが、そういう「別世界感」と、ニュータウン育ちの子供が成人すると出て行ってしまうことは…関係がないといえるのでしょうか…?(そのかわり千里ニュータウンでは、団地の中は通り抜けが可能なオープンな敷地構成が採用されていて、これはなんとか建替のときも引き継いでほしいものです…)
もうひとつエピソードを付け加えると、阪神間のオートロックのマンションで、大震災のとき停電になり、「閉じ込められた!」と慌てた住民が、ガラスを破って出口を確保した現場を僕は見たことがあります。(停電時のロック解除のスイッチは、どこかにあったはずだと思いますが。)
連想が飛んでしまいました。
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