長らくかかってしまった「北海道・ニュータウンレポート」も、今回はこれで最後です。
花も工夫もいっぱいの恵み野ですが、都市計画の角度から考えると、とくに目立ったニュータウンではありません。土地は平坦で地形の変化には乏しく(高齢社会には有利ですが…)、区域はほぼ真四角、中に「恵み野西」「恵み野南」「恵み野北」「恵み野東」の4つの町名があり、街区割は大部分が平凡な長方形…千里のような高度成長期の徹底したモダンさも、バブル期に造られたニュータウンの凝った設計もなく、規模も小さいので特に「ここ!」という設計者の見せ場もなく…実に堅実な「普通の町」と言ってよいでしょう。
しかしこの町を非凡にしているのは、ひとえに住んでいる人たちの「花」に賭けたアイデアと努力、実行力です。いま写真を見ていても、違う季節にまた行ってみたいと思うし、この町で育って一度離れた子供も、いつか帰りたいと思うんじゃないでしょうか?花もたしかにキレイだけれど、住民の「心映え」みたいなものが、訪問者に訴えるんじゃないかな…。
この花づくり運動のキーになっている内倉さんの言葉…「北海道は土地がいくらでもあるから、ニュータウンをスクラップ・アンド・ビルドで使い捨てにしようと思えば、いくらでもできてしまう…でもそれはおかしいでしょう?」
厳しい自然の中で「町」にかける北海道の人たちの思い…やはりどこかで開拓の心を受け継いでいるのでしょうか。再訪を期しつつ、皆さんの奮闘を願ったのでした。
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コメント (1)
ヨーロッパで撮った街の花の様子を参考資料におくろうとしたのですが、整理がわるくてなかなか見つからない。思うに、花とは優れて草原的なもの、人の営みで言えば牧畜でしょう。ドイツでうろうろ森や原っぱを歩いていたとき、花を摘んで小さな束にして、自転車の前の籠にいくつか投げ込んであったのがとても印象的でした。
しかし、日本にはその手の花が少なく、私の記憶の風景にある花と言えば、菜の花、レンゲ、畑の百日草、菊、そしてヒガンバナくらいでしょうか。サクラ、ナナミズキ、サザンカなどは森の花。
都市化とは、一種の人為的砂漠化ですから、家々の庭に咲く花はオアシスの植生ともいえそうです。そういう意味では北海道は日本では唯一の草原(広い畑もふくめて)、つまり西洋的な風景が似合う場所だと思います。