先日、朝日新聞を見ていて驚いたのですが、千里中央にあったこの「動く彫刻」、覚えておられますか?
その名は「ステンレスの林」。1970年、千里ニュータウン完成記念に、ニュータウン内各所に設置された現代アートの一つです。(藤白台の「風の道」もその一つですね。)以来36年間、この「ステンレスの林」はニュータウン内でも最も人通りの多い場所で親しまれ、千里の風を受けてくるくる回りながら、周囲の景色を映してきました。設置直後には台風で脚がぐにゃりと曲がってしまい、たしか作者の方が「強度計算が足りなかった。お恥ずかしい!」と脚を太くして作り直した一幕もありましたが…まさに千里のランドマークの一つとも言うべき存在でした。
ところが2006年、千里中央再開発で、この「ステンレスの林」は現地から姿を消しました。でもあれだけ親しまれたシンボルなのだから、当然工事が終わったらまた戻ってくるものだと僕は思っていたのです。
しかし真相は…報道によれば、行き先が決まらず、豊中市と伊丹市にまたがるゴミ処理施設に眠ったまま、このゴミ処理施設をリニューアルする際に復活させる…ということになっているとか…。
ええっ、千里ニュータウンのために作られたアートなのに…。できれば千里ニュータウンの中に、それもできたら千里中央に、連れ戻したいと願うのは僕だけでしょうか…?
千里中央の都市的な風景を写すために、このアートは作られたのですから…。
こういうアートは生活に直接役立つものではありませんが、多くの人の心のよりどころとなるものです。これは、千里住民にとってはただのステンレスじゃないんです。いま再開発で千里ニュータウンからは初期の建物が姿を消していますが…町は生きていかねばならないので、その新陳代謝じたいは受け入れるべき変化だと僕は思っていますが…シンボル的なアートを残すことは、町への愛着を守るためのコスト効率から言っても理にかなったことのはずです。建物一棟保存するのに比べたら場所も取りません。でも、遠くのゴミ処理施設の中ではダメで、元あった場所にできるだけ近くて人目に触れる場所に置かないと、公共アートは精彩を失ってしまいます。
関係者もたぶんいろいろ模索されたのだと信じたいですが…自治体も企業も「オカネがない」と言っている昨今、住民がお金を出し合って、長年親しまれたアートを救えないものでしょうか?(たぶん「ン百万」という単位でしょう…つまり1人1万円として1000人の力が集まればと思うのですが…)
コメント
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コメント (4)
リンク先の現代アート”集”(つどい)が気に入りました。「<大きさ>高さ約7m 枝回りの直径最大4m 」というあたりが、さすがニュータウンです。飛騨ですと本物の木になっちゃいますので。来週、桃山台駅に到着する予定です。わずかな時間ですが、万博展を見学させていただきたいと考えています。
akakageさん、おひさしぶりです。”集”(つどい)は北千里駅前にあります。たしかにNT完成記念のアートには、木でできた作品がないですね…。竹のが一つぐらいあってもよさそうですが。アートの素材選択にも、千里を「未来都市!」としてアピールしようとした当時の姿勢がうかがえます。万博展観覧、お待ちしています。
[ステンレスの林]がなくなる~と記事で読み
去年、写真をとりにいきました。
それまでは”当然そこにあるもの”という感じで、
そんなに気にしたこともないし、足を止めたこともなかったですが。
写真を撮りながらしばらく眺めてたら、思ってた以上に複雑に動いて(音もなく)、
ステンレスの面に周りの景色が写りこんでーキレイで楽しいんですよね。
あれをゴミ処理施設に埋没させておくのは、
あまりにもったいない!
北公園には、[風の道]がありますがーー
[ステンレスの林]もあっても良いと思います(笑)
こういうときに困るのは千里中央は豊中市で、北公園は吹田市だということです。ゴミ処理施設にあるということは豊中市の管轄下にあるということなんじゃないでしょうか。ゴミ処理施設だったら北公園のほうがはるかにいいと僕も思うのですが、まずは千里中央でなんとかならないか、を探るのがスジであろうと思います。