遠くの町の仲間たち…須磨ニュータウン(神戸)

大阪や三宮から行くと西神ニュータウンの手前、地下鉄名谷(みょうだに)駅を中心に広がるのが須磨ニュータウンです。「須磨」って海沿いのイメージが強いですが、ここは丘一つ越えた内陸部。
名谷まで地下鉄が開通したのが1977年。はじめて登場した神戸市営地下鉄は、1971年に全廃された神戸市電のカラーの面影や車番の書体を復活させて、神戸ファンの鉄道ファンを喜ばせました。…ニュータウンの話に戻ると、千里よりはあと、西神よりは前、日本が高度成長期の喧騒からはなれ、まだバブルに狂う前の「落ち着いた」時期の建設です。
…そのせいでしょうか、70-80年代前半のデザインって、なんだか温かみがあって僕はとても好きなのです。古くなり方もちょうどいいと言うか。この広場は名谷駅前のタウンセンター。高度成長期に造られた千里ニュータウンには少ないアーチ型の意匠がふんだんに使われ、神戸らしいスパニッシュ・ミッション風?のシックな空間が演出されています。その名も須磨パティオ。パティオって、中庭ですよね。親子連れや若い人や年取った人が大勢くつろいでいて、すごくいい感じでした。「千里ニュータウンには、日本では珍しい『広場の文化』がある」と、知っている阪大の先生がおっしゃってたのですが、ここも広場の文化が生まれていそうですね。
この須磨ニュータウンはもともと、山と海に挟まれて市街地が狭い神戸市が、六甲の裏を削った土を海に運び、山と海の両方に町を造る…「山、海へ行く」と言われたプロジェクトの「山」のほうに造られたものです。だからここは1981年のポートピアで有名になったポートアイランドなどと、表裏一体の関係になるわけです。
夕方近い時間帯に行ったせいでしょうか、この空間に立っていると、震災で傷つく前の屈託がない「神戸らしさ」のようなものが伝わってくるようでした。神戸には悲しい出来事もあったけれど、暮らしやすくて「しがらみ」にとらわれない町の良さを、これからも発揮してほしいなあと願います。

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