万博タウンの表札(上海・浦江鎮)

町の入口には万博マスコットの海宝(ハイバオ)君と並んで、石に刻んだ立派な表札もありました。「浦江・世博家園」。花壇にふちどりされて、いかにもここが「より良い都市」の見本です!っていう意気込みを感じさせます。海宝が決まったのは2007年12月で、会場建設のための立ち退きのためのこの代替地の建設はそれより前のはずですから、たぶんこの表札のほうが先にあったのでしょう。
「ニュータウン」という新都市の建設には、宿命的に「立ち退き」という段取りがつきまとい、千里ニュータウンの建設でも住宅の立ち退きは少なかったですが多くの地主さんから先祖伝来の土地を譲っていただく…という過程がありました。
一方上海では、このニュータウン自体が万博会場のために立ち退いた住民のための代替地として建設されているわけです。万博会場を郊外に持っていくのではなく、都心に近い場所に建設し、そこに住んでいた約2万人もの住民を郊外に移して、都心と郊外両方で都市改造を行う…土地の私権に対する考え方や社会体制が違うとはいえ、あえてすごい労力をかけているのです。
ニュータウンはどこでも、社会変化による大量移住の物語を秘めているのです。

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