9月7日に開催地が決定した2020年東京五輪の「ニュータウン」への影響を考えてみました(なんでもニュータウンを軸に考えてしまう私…)。経済の回転は良くなって町の更新は進みやすくなるかもしれませんが、日本の人口が増えるわけではありません。経済の東京一極集中は、もっと極端になってしまうでしょう。

…ということは首都圏のニュータウンには多少の「活性化効果」が出るかもしれませんが、都心の再開発が加速されると郊外から都心への人口シフトも進んで「遠い郊外」はますますつらくなるのかも(こんどの五輪は「コンパクトな開催」をうたっているから都心開発を緩和する方向へ当然進むでしょう。)

あるいは建設業界は五輪関連に人や資材を取られて、数は足りている住宅の再生なんて誰も注意しなくなってしまうでしょうか?

関西にとっては、これはもう「+国全体の経済が良くなる-決定的に東京に引き離される」で関西のことは関西でやりなはれとなり、ほな勝手にやりまっさとなれば面白くなるでしょうか?関西の郊外は都心と東京への吸引がますます進んで、千里など「近い郊外」と、三田などの「遠い郊外」でははっきりシナリオが分かれてくると思われます。同じ町でも駅前集中が進み、バス会社などはきつくなるのでは?2020年ではリニアもまだ(名古屋までも)できていません。新東名+新名神はつながっているでしょうが、それで東京の経済効果が流れてくるとも思えません。

…要するに五輪が来たから特別なことになるのではなく、経済の回転が早まれば運命の分かれ目も早まるかも…ということで、なんだかアナーキーなことになっていきそうな気がします。

もし決定的に運命を変えるキーがあるとすれば「移民の導入」と「経済好転による出生率の向上」。しかしものの本によれば「移民政策」は(来た時点ですでに大人になっているので)長期的には高齢化を加速するし、出生率の向上は(生産年齢になるまで20年はかかるから)高齢者がいっぱいいる社会では被扶養者のパーセントを上げることになり、いずれにしても楽な道ではありません。都合のいい時だけ呼んでおいてあとはお帰りくださいなんていう移民政策は取れるものではないです。じわじわと外国人は増えるでしょうが…日本が日本人にとって魅力的でなければ、外国人も来てくれないですよね?

それより現実的なのは「女性が働きやすくすること」ですが、夫婦が2人とも働いて子育ても…となると、時間がもったいないので人口の都心シフトは加速します。大量の団塊定年を出したあとで経済が好転すれば突然激しい「人手不足」が起きてきます。そうなったら60ぐらいで引退して世界クルーズでも…なんていう調子のいい夢シナリオは成り立たなくなり、「働けるうちは働いてください。ただし安めで」となってきます。そこには「都心のオフィスに通勤する」のとは違ったシナリオが出てきます。

オリンピックと関係なく、人口構成上マイナーになっていく若者が、気分までマイナーにならないようにしないといけません。

つまり「女性が住みたくなる、高齢者も働きやすい、若者にも面白い」町にしていくことが、ニュータウン生き残りの大筋になってくるのではないでしょうか。あと「単身者を排除しないこと」。日本中のニュータウンは例外なく「標準世帯」のことだけを考えて造られていますが、それはもはや実態と大きくずれてきています。

オリンピックは未来を近づける。しかしその未来は1964年の未来ではないのです。

この投稿は2013年9月9日にfacebookに投稿した文章に加筆したものです。

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