
あえてどことは書かないんですが…。地方のいくつかのニュータウン(大規模団地)では、激しい人口減少がすでにどんどん進行していて、古くなった団地の住棟が打ち棄てられているのを目撃しました。とくに、特定の産業、特定の企業に町が依存しているケースが危ない。かつては理想的な都市をめざしたはずのものが、わずか半世紀で原野に還ろうとしている。藪に埋もれる団地の骸…。ニュータウン育ちとしては「きつい」風景です。
実は団地内の半分ぐらいの棟を使用停止または撤去して、残り半分はリノベーションして延命を図っているので町全体がなくなるわけではないのですが、人口が減ればお店も成り立ちにくくなるので、残った住民にとっても状況は楽ではありません。この団地でも銭湯廃業の貼紙を見ましたが、銭湯があったということは内風呂がない住宅があるということで、これから住民は一体どうするのでしょうか?
千里と違って建替するカネは出ないので、団地の半分を撤去して土地を売って、残り半分を改装して住民を集約する…という戦略のようですが、売りに出した土地が売れていない。葛のジャングルになっています。そこにも団地があったらしいとわかったのは、Googleマップの航空写真に、建物の痕跡がうっすら残っていたからです。(しかもなぜか町の中心に近いほうを売って周縁部の棟を残しているので、葛のジャングルを抜けないと住民は家に帰れない…)
北海道では公的住宅を戸数削減しようとする一方で、民間による新規開発は止まっていません。公的な住宅は供給の調整がしやすいため、物理的、または社会的に古くなった住宅は縮小廃止される一方、ニュータウンの外では民間住宅が建設される矛盾が同時進行しています。まさに「町の使い捨て」。除雪などの負担はどこよりも重いはずなのに、これではコンパクトシティに逆行しているのでは?公的主体が住宅需要を「回収する」方向で進まないと、コンパクトシティなど絵に描いた餅です。これが都市計画といえるのでしょうか?民間原理に任せたら、町などまとまるわけがないと考えてしまいました。
しかも日本全体で人口減少の「本番」は、これからなのです。それは都市部でも例外ではありません(都市部のほうが絶対数が多いために縮小幅も大きくなります)。つらいことですが、これを「見ないふり」はできません。私たちはどのような「町の未来」を、選び取っていくのでしょうか?
この投稿は2014年9月15日と10月8日にfacebookに投稿した文章を編集したものです。
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