千里ニュータウンではこの10年、ものすごい勢いで集合住宅の建替が進み(集合住宅は全部でざっと2万5千戸ぐらいはあるはずです)、人口は再増加に転じて若い家族や小学校の児童数も増えています。集合住宅の建替は、賃貸・分譲あわせて、ほぼ半分が終わったでしょうか。人口減少時代に入った日本で、かつ経済集中が進む首都圏でもなく、ただ関西では抜群の立地条件に恵まれているから成り立っている「特殊事例」です。

しかし集合住宅の大規模建替による「若返りマジック」はその間だけしかもちません。定住した人口はまた毎年トシを取り始めます。それにニュータウン開発初期からの「第一世代」は…54~46年前に越してきて今70代ぐらいに山があるはずですが…「後期高齢化率」がこれから急速に上がっていきます(世代の偏りが大きいのがニュータウンの特徴。千里はいわゆる「団塊の世代」より少し上に山があります)。建替で入ってきた若い家族に均されて、平均では高齢化率は一時的に上昇を止め、あるいは下がったりするように見えますが、実は後期高齢者の数はこれから「どっと」増える運命が決まっているのです。

そのとき、町で何が求められるでしょうか?福祉的視点が比重を増していくことは間違いありません。「悠々自適な」「おカネに困らず時間を自由に使える」老後観がどこまでもつのか、僕はかなりあやしいものだと思っています。そういう老後が約束されていない若い世代が、上の世代を支える「取引」が、はたして成立するでしょうか?

やがて日本全体で団塊の世代が一挙に「支えられる側」に回ったときどんな社会が出現するのか(前期高齢者はいまどき明らかに地域社会を「支えるメインパワー」になっています)、はらはらするような先行実験が千里で進行していきます。

この投稿は2016年3月13日にfacebookに投稿した文章に加筆したものです。

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