「ブックカバー・チャレンジ」のEXPO版、行ってみましょう。その名もずばり『万博学』(2020年 思文閣出版、佐野真由子編)。「ばんぱく・まなぶ」じゃないですよ。「ばんぱくがく」。ジャンルを超えた多彩な論者33名が「万博」を論じた論文集です。
論じられている「万博」は70年万博だけではなく、19世紀から21世紀まで…幻に終わった万博もあります。充実の目次はこちらから見られます。左手で持つのがツライほど、重いです!活字がぎっしり。+古今の図版も。なくなる3ヵ月前の、堺屋太一さんの貴重なインタビューも収録されています。
このミーハーなブログではとてもつぶさに紹介しきれませんが、サブタイトル「万国博覧会という、世界を把握する方法」がすべてを物語っているように、万博というものはこれほど多様な世界把握の方法を教えてくれるものだということが、この重さでわかります。170年の歴史の中で、万博は産業発明品の陳列場であったり、国威発揚の場であったり、科学技術のアピールの場であったり、世界的な課題の解決に取り組む場であったり…時代によって役目を変えてきましたが、今ココにあるのは、個人が世界を把握するアプローチを示してくれる場だということですね。国、国家陣営、企業という「大きな主体」を経て、個人という単位こそが、「つぎの万博」を作っていくのだと、この本の構成は訴えているようです。この研究主体(研究会)は2025年のために集まったグループではないのですが、奇しくも2025年の方向は、この多様性の中から見つかっていくのかもしれません。
ものすごい力作ですが、お値段は専門書だけあって8,500円(税別)!(この「読みごたえ」を考えればものすごくがんばったお値段だと思いますが…)お近くの図書館にリクエストを出すには、まさに好適な本だと思います。
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2020年 9月 22日
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2020年 9月 23日
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