なかった景観をつくる

こんな時期に…という話ですが、今年初めての遠出で、東海道を東へ西へ4日ほどさまよってきました。自家用車で。帰りは琵琶湖を北に回って、高島市のマキノへ。冬・平日・雨という条件揃いで誰もいませんでしたが、ここにはメタセコイア500本の有名な並木道があるのです。延長2.4km。

メタセコイアは千里ニュータウンでも並木道公園集合住宅の中などあちこちに植えられていますが、日本の原産種ではありません。かつては化石でしか確認されず、とうの昔に絶滅したと思われていたものが、1946年に中国で発見。その後日本に苗が持ち帰られ、人為的に増やされた…という歴史があるので「植物のシーラカンス」とも言われます。つまり「メタセコイアを植える」という行為は、二重に人工的な景観を創り出す行為とも言えます。

こちら、マキノのメタセコイアは1981年から植樹が始まったということですから、約40年。新しいです。それでも、これだけ立派な景観になっています。「外来種を増やす」ことには、今では慎重な意見もあるようですが、地域の方たちが丹精してこうなっている…という足跡は、やはり重みを感じます(変遷の写真が、こちらに)。とても日本離れした印象を受けますが、学童農園『マキノ土に学ぶ里』整備事業の一環として始められたもので、いわゆるリゾート開発ではありません。「なかった所に、いいものをつくる」。そういう地元の皆さんの心と行動に、胸を打たれました。

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