前回ご紹介した「千里モニュメント作品目録」(1970)。左藤府知事の気張ったあいさつをめくると、まず紹介されているのは『ステンレスの林』です。寄贈は大阪ガス。設置場所は千里中央地区センタービル前。鏡面仕上げがされたステンレスの板が、風にくるくる回っていたのを覚えておられる方も多いでしょう。
この作品は、2006年の同ビル建替により、撤去されています。この時に設置された6作品のうち、この作品だけが現存していません。現在は50階建のタワーマンション「ザ・千里タワー」が建っている場所です。
このブログでは2007年に末期の姿を紹介していますが、この目録に紹介されている初期の姿は、ずっとスマートです。実は設置して間もない頃、強い台風が来てこの作品が折れてしまうという「事件」がありました。作者の飯田さんは「強度計算が不十分だったのは私のミスだから、私費で修復したい」と申し出たと、報道されたのを覚えています。たしかに見比べると、修復後は脚も太くなっているし、(別の写真で見ると)パネル自体も肉厚になっています。高さも少し低くされたようです。
…という事件はあったものの、36年にわたって親しまれてきた『ステンレスの林』。可動部があるものは劣化と戦わねばならず、作者の飯田さんも2006年におなくなりになっています。飯田さんは1923年生まれで設置当時は46歳でした。(つづく)
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