千里モニュメント作品目録(1970)

面白い資料を目にする機会がありました。「千里モニュメント作品目録」(1970)。発行は、大阪府・千里開発センター。全16ページのパンフレットです。

開くとまず、左藤義詮大阪府知事の「あいさつ」があります(さきごろなくなった左藤恵元法務大臣の父上です)。全文引用してみましょう。

 削りとられた山肌にコンクリートの建物とアスファルトの道路だけといった数年前の索漠さから、ようやく樹々の緑に薫風が吹きわたり、高層ビルディング等の近代的な建物が姿を現わし、千里ニュータウンも10万人をこえる町に発展いたしました。
 新らしい町づくりに懸命の努力を続けてきましたその成果を、内外の方々にお見せできる喜びを感じながらも、一方では何かもの足りなさが感じられてなりませんでした。人々にはそれぞれ生れ育った故郷で、丘の上の大樹や海辺の岩組などいつまでも愛着を感じ、記憶にとどめられている象徴的なものがありますが、千里ニュータウンにはそれが欠けているような気がして、是非ここにもとかねてから強く念願いたしておりました。
 このような念願と、本年は千里ニュータウン開発事業も一応完成することになり、また隣接地に世紀の祭典日本万国博覧会を迎えることができ、これを記念する意味をも含めまして、大阪府と財団法人千里開発センターでは、要所に野外彫刻5点を配置し、1ヵ所を造園で修景することを企画いたしました。
 幸いわが国で最も優れた制作者6氏が選ばれ、特に彫刻4点は趣旨をご理解いただいた企業から寄贈されることになり、新鮮な感覚をもちながらも親しみやすい造形をめざして制作に傾注され、ここにご紹介の作品の完成をみましたことを衷心より感謝申し上げます。
 これらの作品は、必ず私どもの意図しましたように町にうるおいをもたらし、人々から愛され、深く心の中に刻みこまれて生きつづけることを信ずる次第であります。

「千里モニュメント作品目録」(1970)

…たしかに千里は当時、そういう町だったという遠い追憶と、政治家の言葉の「格調」の今とのあまりの差にクラクラしてしまいますが、さて、そのパンフレットの本文は?(つづく

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