私財と公益-1. 白鶴美術館

神戸散策のつづき…住吉学園から住吉川に沿って山手へ…。やがて見えてくるきらびやかな(鉄筋コンクリの)建物が、白鶴美術館です。阪神間には財をなした実業家が開いた民営のミュージアムがいくつもありますが、ここもそのひとつ。白鶴は、あの白鶴です。1934年の開設。関東大震災の後だから、頑丈に造ってあります。収蔵品は中国古美術を中心にした1,450点!

こんな財の築き方って想像もつきませんが、阪神間の民営ミュージアムの多くは「公益財団法人」という形をとっているのも興味深いところです。私財から出来ている「公益財団」。そういえば東京の根津美術館もそうでした。税金対策だとか言ってしまえばそれまでですが、逆に言うと私財を社会に開かせる仕組みが「公益財団」とも言えるのでしょう。お蔭様で貴重なお宝が一般人にも鑑賞でき(私には猫に小判ですが…)、それよりも僕が関心あるのは、こういった存在が「地域の特色」を濃厚に発散していることです。古美術なんて生活の役に立たないと思ってしまいがちですが、「文化の豊かさ」は直接の用とは関係がないところにも存在します。この建物のランドマーク性も含めての「白鶴美術館」であるわけです。

そういえば住吉川の浜のほうに住んでいた祖父が生前(もう90近くにもなって)「白鶴美術館まで毎日散歩しとるぞ!」と威張ってたな~。僕なんか阪急から歩いただけでけっこうしんどかったのに、ほんとに阪神から歩いてたのかな~?見栄張ってただけじゃないのかな~?ともあれ祖父の健康の目標になっていただいただけでも、やはり地域にこういうものがあるのは有難いことです。

僕が阪神間に興味を持つのは、母の里だということもありますが、町ができてから50年を過ぎ100年目に向かう地域の成熟した理想像が、そこにあるような気がするからです。いきなり京都を狙うのは、ちょっと目標が遠すぎる気がするのでね。

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  1. 2021年 4月 23日

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