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千里ニュータウンの場合「公共事業なので区域内に計画的な宗教施設は造られなかった」という説明がよくされます(いろいろな経緯で100%ないというわけではありません)。
しかし千里以外のニュータウンでは、事情が異なります。こちらは多摩ニュータウン。一角に、開発前から鎮座していた立派なお社があります。白山神社と言います。起源は平安・鎌倉期にまでさかのぼると伝えられています。多摩センターの駅から近いです。背後にそびえるのはベネッセの東京本部ビル。この対比も「ニュータウンの物語」の一部です。
ええ?ニュータウンは公共事業なのに…?と、千里民は思ってしまいますが、これは、千里ニュータウンと多摩ニュータウンでは「造られ方」が異なるからです。千里ニュータウンはほぼ全域が「全用地買収」で土地を確保されたのに対し(真ん中に大きな旧集落=上新田がありますが…)、多摩ニュータウンは用地買収した部分の一部(多くは谷筋)などに、「区画整理」の部分が入り込んでいます。
これは多摩ニュータウン開発着手当時、すでに住んでいる人たちがかなり点在していたため、「全用地買収」ではなく、細かく土地を交換しながら開発を進めるやり方をミックスしないと現実的に進められなかった…という事情が影響しています。古い村には神社があります。そこでその神社も、ニュータウン区域に取り込む形で残された…というのが、このように今なっているわけです。ただしまさに「区画整理」という土地の交換は行われたので、元のとおりではありません。拝殿と本殿を一緒に建て替えるなど、オリジナルよりコンパクトな境内になっています(とは言っても十分立派です)。ニュータウン開発による改造から半世紀近くたっていますので、かなりさわられたであろう「鎮守の森」も今は再び鬱蒼と茂っています。
社域全体が斜面にあり、背後の丘の上は千里と同じような「全用地買収」でいかにもニュータウンらしい人工的な町が広がり、手前の坂の下は「区画整理方式」で旧集落の面影を残す谷筋の区画(青木葉地域)が入り込んでいます。モダンと伝統のコントラストは、インバウンドさんにも面白いかもしれませんね。すぐ近くにはサンリオピューロランドもあります。なんという異世界!
多摩ニュータウンが「全用地買収」だけでやらなかったのは、千里での苦労も見聞していたからではないでしょうか。新しい町を造るから人も神様もどいてくださいというのは…誰でも罰は当たりたくないものです。
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ランドスケープの観点から「万博レガシー」を考える特集号。超豪華メンバーにまぜていただき、千里万博の近隣住民として60年にわたり変化を見てきた私の講演録も出ています。

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