千里ニュータウンの「理想人口」は?-2
- 2013/1/4
- ニュータウン内, 千里ニュータウン
- まちづくり
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(前回からつづく)
計画人口15万人を掲げてスタートした千里ニュータウンは、実際には12.9万人をピークに人口が減り始め、8.9万人台まで減少。その後の再生策でやや回復して現在は9万人台…というところまででした。
つまり今の千里ニュータウンは、最盛期(1975年)の7割しか人口がないのです。なぜこんなに減ってしまったのでしょう?住み心地が悪かったんでしょうか?そんなに空き家が増えちゃったのかな?…こちらの「世帯数の推移」を見ていただくとわかるのですが、実は世帯数は1975年当時に比べて決して減っていません。長いスパンで見れば1975年から2005年までは「ほぼ横ばい」です。その間に人口が7割に減ったということは…
1世帯あたりの平均人数が減ったのです!1975年には3.57人であったのが、2005年には2.37人、2010年には2.17人まで減っています。両親と子供2人の「核家族」がもっとも平均的な「標準世帯」である…という家族像は、昔のことになってしまいました。つまり、空き家は増えてはいない。同じ戸数があっても、そこに入る人数が減ってしまったのです。
これは一般的に、「核家族」の子供が成人すると親が残って子供は独立して町の外に行ってしまったからだ…と説明されています。計画当初は、団地は狭いし所得制限のある賃貸団地も多かったから、住民は年を取れば入れ替わっていくだろう…そこにはまた新たな「若い核家族」がやってくるだろう…と想定されていたといいます。しかし実際にはそうならなかった。便利で、環境が良くて、みな居着いてしまったのです。所得に関する制限がどのように運用されたのかわかりませんが、賃貸でも、家が狭くても、こんないい町を出ていく理由がありません。「家が狭い」問題は1980年前後に府営住宅を中心に増築が行われ、定住化を決定的にしたともいわれています。
そこで成人した子供が独立しようとすると…僕の同級生でもわかるのですが、つい数年前まで、千里ニュータウンの中で新しい家を探すことは大変困難でした。空き家が出ないからです。それでみんな、ニュータウンの外に出てしまう。多くの家でそれをやったら…「空き家は増えないが人口は減り、どんどん高齢化が進む」ということになります。
千里ニュータウンは「普通の町」と違って、住民の世代が「入居当初20-30代の親と子供」=「50年後は70代の夫婦」に極端に偏っていたため、加齢にともなう年齢構成の変化が極端に出ました。あるとき小学校の児童がどんどん増えてパンクしたかと思ったら、そのあとはどんどん減ってしまう…というジェットコースターのようなアップダウンを描いたのは、まさに「ニュータウン的」現象であったのです。
1世帯あたりの平均人数は、ニュータウンでなくても、日本全国で減り続けているのですが、千里ニュータウンではその傾向が先駆的に顕著に出たといえます。それは「団地で家が狭かったから」ではなく戸建でも同じで、つまり「核家族の文化」が浸透していると、町は必然的にそうなるのだと、僕は考えています。
2005年以降は団地建替が本格化し、そのために募集をやめたり仮移転などで人口が減っている区画もありますが、2005年以前までの変化だけを見ても、建替と関係なく、「空き家はないのに人口は減る」傾向が続いたと言っていいでしょう。
つづきは、次回!
コメント
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コメント (6)
以前、千里ニュータウンに住んでいた者です。
どうして、千里ニュータウンの人口が頭打ちかって? 住んでいた者から言わせると、千里は「お金回り」がいい人でないと、住めません。
ちょっと、所得が減って、千里の家賃負担がきつくなってきたので、同じ北摂のJRと阪急、どちらでも使える大変便利な所に、引っ越したのですが、少々環境が悪くはなりますが、物価の安いこと。所得が減ったのに、可処分所得が変わらない。おまけに、千里と違って、梅田まで、20分を切るという便利さ。家賃は、千里の1割5分安、物の値段(例を挙げると、私の好きな食パン「超熟」が千里ではいくら安くても130円切ることはないが、ここでは、安いときは108円。普段でも138円!)。ほんとに、金回りが良くないと、千里は住めません。私も金回りが改善すれば、千里に住みたいとは思いますが・・・。
開発当初から「千里物価」ということが言われていましたが、今もそうなんですね。町がゆったりできている→人口密度が低い→商売が成り立ちにくい→競争環境になりにくい→物価が高止まりしてしまう…というメカニズムがあるようです。市場原理が完全に働いていれば、値段が高くて客がつかなければ値段は下がるはずなんですが、そうならないのが千里の特殊なところです。地価は日本ではすべての物価に反映されます。若い世代を呼び込むためにももう少し下がらないとと思うのですが、高い値段で買った人にはそれも抵抗がありますから、難しいです。
この写真、なかよし遊園ですよね。小さいときよく遊びました。今、海外勤務ですが、まだ時々藤白台にもどります。懐かしい藤白台の今昔、伝えてくださって、ありがとうございます!ふっとウエッブで見つけて今日はとても幸せな気分です!
そうです!これは四丁目の「なかよし遊園」です。遠くからのコメントありがとうございます!昔はここでラジオ体操とかしたこともありました。最近では子供の姿もあまり見ませんが、年2回、自治会の手配できれいに除草されています。たまに保育園のお散歩の集団が通りかかる時だけにぎやかになります。海外ですか。どうぞお元気で、いつも心に藤白台を!
やっぱりそうだったんですね~。感慨。。ほかのブログも拝見して、すごく嬉しい気分です。ちなみにFBにもアップされてますか?これからもときどき、お邪魔させていただきます!
FBにもフィードは流しています。
https://www.facebook.com/?ref=tn_tnmn#!/takeshi.okui
最近なかなか更新できませんが2006年以来のストックがありますのでゆっくりご覧ください。