近隣住区理論の真ん中にあるもの

全国どこのニュータウンへ行っても(ニュータウン以外でも)共通で激しく進行しているのが「学校の統合」。人口減少より激しい勢いで少子化が進行しています。計画都市の小学校は子供が歩いて通えるようにもともと便利な場所に置かれていますから、跡地をどう使うか、これもまた共通の大テーマ。地方都市などではなく、首都圏でも、千葉海浜ニュータウンでは9つも小学校を統合したと聞くと、社会の変化の容赦なさが迫ってきます。

その中で千里では…マスタープランになかった「あとから増設した2校」は統合されましたが、当初のマスタープランの小学校数を保っているのは、やはり「稀有な例」だと思われます。とくに千里では近隣住区理論をあまりに忠実に具現化したので、「住区ごとのまとまり」はとても大切で、その真ん中に何があるかというと…小学校なのです。

イギリスのニュータウンでは住区の真ん中にあるものは、教会でした(これが社会主義時代の団地だと、真ん中にあるのは「工場」になるそうです)。もうひとつ近隣センターというものがありますが、近隣センターはモータリーゼーションと流通革命で弱体化してしまいました。日本らしいコミュニティの核には銭湯がありましたが、これはもう千里では、存在していません。

すると一番住区のまとまりを保つ場は…「小学校」なのです。これがもし少子化が進んで統合されてしまうと、千里はコミュニティの核を失ってしまうことになります。それは町の骨格が崩れることにつながります。

…と考えれば、千里の今後の人口戦略を考えると、「小学校が統合されない児童数を保つ」というラインが見えてきます。文科省は小規模校の統合を進める方針ですから、千里もうかうかしてはいられません。その基準は「1学年2クラスが満ちること」。つまり1学年がだいたい70~80人、6学年で460人が基準になります。(大阪府では1年生と2年生は1クラス35人、3年生以上は1クラス40人が基準になっています。)

「千里は建替もやってるし住みたい人がたくさんいるから大丈夫」というのは、油断です!少子化の本番はこれからだし、建替で一時的に町が若くなっても、少子化・高齢化の圧力は日本全体でかかり続けることを忘れてはならないし、「集合住宅建替による高密度化→収容人口増」という手段は一度しか使えないマジックだからです。

この投稿は2014年10月11日にfacebookに投稿した文章に加筆したものです。

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