「忘れない」「伝える」。何を?(震災20年)

自分の中の答えは、2つ。1つめは「つぎの震災で死なないための具体的なノウハウ」。2つめは「くやしさと悲しさ」。20年たっても自分の中の整理はついていません。経験談はノウハウに昇華されていないと、昔話に終わってはいけない。家具が倒れてくる場所に寝ないことだけで、どれだけ多くの人が助かったでしょう。

しかし理知的なノウハウだけでは、なぜそうしないといけないかのモチベーションが伝わりません。「もっとできたのではないか」「ああしたほうがよかったのではないか」。震度7を経験しながら怪我一つしなかった「中途半端な被災者」としては、そのやりきれなさを持ち続けることをもって、哀悼の気持ちとさせてもらうしかないのです。もし震災に遭わなければ、もっとふわふわ生きていただろう自分の「重石」のようなものだと、僕はあの経験を受け止めています。

もう1つありました。「20年間、皆ががんばってきたこと」。たった20秒の振動で、あれほど何もかも徹底的にめちゃくちゃになって、元通りには決して戻らないが、とにもかくにも、皆が必死に日常を作り直した。自然の力もすごいが、人の力もすごい。普通にお店で物が買えること。普通に電車が走っていること。普通に道をクルマが流れていること。そんな日常風景の一つ一つが、退屈なほどはてしない努力の積み重ねであることを、あの日、思い知った。

それを20年間続けてきた。あの時、その場にいなかった人、まだ生まれていなかった人の努力も、そこには当然含まれています。だから「あの日を知らない」ことを恥じる必要はありません。20年の努力は、20秒の破壊を超える。そう思って、自分たちを励まして、僕らはこれからも生きていくのです。

この投稿は2015年1月18日にfacebookに投稿した文章に加筆したものです。

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