トイレットペーパー騒動を再燃させないために

新型コロナウイルス対策の影響は、この千里丘陵にも広がっています。どこへ行って何度見ても、マスクは売っていません。イベントやセミナーも続々と中止または延期になっています(いつまで延期したら大丈夫と思えるのかも、現時点ではわかりません)。小学校は突然の休校要請で、休み前の最終日となった28日は校庭から元気な声が聞こえてきていましたが、週明けからはひっそりした日々が続くでしょう。

そして「また」、トイレットペーパーが品薄になっているようです。中国から古紙が入らなくなるとか、誰かが流通をコントロールしているとか、いろんな「説」がネットで散見されます。

ところで!1973年10月末~11月初旬の「トイレットペーパー買いだめ騒動」を、若い人たちはもう知らないでしょうか?当時、中東戦争で原油価格が高騰し(ここまでは本当の話)、紙製品がなくなる…トイレットペーパーが…なくなったら大変!と、「買いだめ騒動」が勃発し、なんと私の暮らしている千里ニュータウンから全国に広がった「事件」です。これはおりから原油の輸入が止まったら…?という不安心理が高まっていたところに、千里中央の大丸ピーコックでトイレットペーパーの特売があり、それに並んだ人たちの列を見て、「大変!トイレットペーパーがなくなるらしい!」と主婦たちがあちこちに「買いだめ」に走り、現場での品不足が本当になってしまい、その報道から騒ぎが全国に広がってしまった…ということだったらしいというのが定説になっているようです。

「なぜ千里ニュータウンから?」ということが気になって調べたことがありますが、千里ニュータウンは、当時、全国でもきわめて珍しい「全戸水洗」の町で、集合住宅率も高く、つまり古新聞などでの代用が効かなかった。集合住宅ではいったん詰まらせると上にも下にも迷惑がかかります。かつ当時の千里二ュータウンは住民も若くて行動力があり、同世代が多くて口コミの回りも早く、人口もほぼピークで、家族も4人で「うんこざかり」であった…といった諸条件が重なったために、騒ぎにブーストがかかった、というのが私の考察です。

そして大半の人は、悪意ではなく善意から「大変大変!奥さん、トイレットペーパーがなくなるわよ!今買っとかないと!」と情報を拡散してしまいました。トイレットペーパーだけでなくあらゆる紙製品が店頭から消え、YWCAで英語のクラスを持っていて出遅れた母は、それだけ残っていたリードペーパータオルを仕方なく買ってきたのをよく覚えています(もちろん水洗トイレには使えません)。

しかし実際には紙製品の供給は足りていて、政府も緊急供給につとめ、この騒ぎは10日から2週間程度で収まりました。ただし値段はすごく上がっていましたが…。

当時はネットはないですから、伝播の過程はすべて口コミ(かマスコミ)ですが、2020年の今、起きていることと重なってきますね。

この出来事は「千里ニュータウンの黒歴史」として、長く住民が口を開くことははばかられてきました。多くの住民が「自分が○○さんと××さんに喋ったから、騒ぎが全国に広がったのかもしれない…」と罪悪感を持ってしまったからです。

「絶対的な悪人は、誰もいなかった」。しかしこの事件は、長く地域住民の心に「沈殿」することとなりました。ですから今!軽い気持ちでパッパッと目についた情報をシェアしまくってると、あとでずーっと、爽やかでないことになりますよ~。少なくとも千里の皆さんには、歴史から学んで自重してほしいです。

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コメント

    • 奥居武
    • 2020年 3月 04日

    1973年当時と比べれば、流通も購買習慣も大きく変わっているはずです。たとえば当時は「買いだめ」と言ってもネットもないし、自家用車の普及率も低かったはずなので、「両手にいっぱい買う」程度が精一杯だったのではと。それが今では一般人でも大量発注ができてしまいますが、売るほうも大きな単位で売るようになりましたからね。つまり全体に中間在庫のバッファーは、かなりあるのではと。あと少し待てば、店頭に出てくることを願いたいです。
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