変わり続ける運命の千里丘陵
- 2020/6/2
- 千里ニュータウン, 周辺地域
- まちづくり, 戸建
- 2 comments
こちらは、古江台六丁目。大阪市立弘済院の一角(だった場所)です。千里ニュータウン風の住居表示になっていますが、計画除外地で、しかし吹田市の「千里ニュータウンのまちづくり指針」の対象地域には入っている、不思議な一角です。
大阪市立弘済院は「高齢者福祉施設および病院」とwikiにはありますが、その事業はもっと広く、児童養護施設や、その子供たちが通う小中学校も敷地内にあります。千里ニュータウンよりはるかに古く、1934年には大阪市内から移転してきました(組織の発足はさらに古く、1912年!)。吹田市にありながら、そのように移転してきた経緯から、ここは大阪市の施設です。千里ニュータウンが開発された時も、この一角は「計画除外地」としてそのまま残されました。(以来半世紀以上経っていますから、建物は新しくなっています。)
その敷地内の西側にあった養護老人ホームが廃止されたあと、敷地が売却され戸建住宅地として再開発が進んでいます。最寄駅は山田駅になりますね。山田駅は阪急千里線とモノレールの2線が使え、駅前施設もコンパクトにまとまっているので、近年利用者数が増えています。このカットでは背後にモノレールが写っているのがわかるでしょうか。
大阪市は弘済院の機能縮小~廃止を検討してきましたが、長い歴史と社会的役割があるために、議論にはずいぶん時間がかかっています。それでも少しづつ、このように売られる土地が出ています。もともと「山里の中のオアシス」のような造られ方をしていますから、敷地の利用は非常にゆったりとしていて、広いです。非常に便利な場所にありながら大阪市の持ち物であるため、吹田市も意見が言いにくいようです。
千里ニュータウンの真ん中で、この一角は「時が止まったような」のどかな空間でしたが、やはり「立地の良さ」は土地を放っておく運命を許しません。その運命は、千里という地域全体にも言えることです。何かがなくなっても、何かがやってくる。便利ですからね。
それが住宅だけでいいのかどうか、ただ経済原理だけに任せておいていいのか、「地域がすたれてしまう悩み」とは異なりますが、「使われる土地」には「使われる土地」の悩みがあります。
コメント
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ここは 謎のエリアでした…
三上塾に通っていた時 近くをウロついていましたが 入れないエリアでしたから…
病院は誰でもかかれるし「入れない」ことはないのですが、「入りがたい」雰囲気なのは今もそうですね。歴史のある一角というのはそういうものだと思います。そういうエリアがニュータウンの隣にあるのは大切なことだったかもわかりません。山田駅のトイメンにある竹林は昔の面影を伝える貴重な場所で、残ってほしいものだと思います。