母子にしては近すぎるトシ回り(シンガポール・クイーンズタウン)

(2018年7月に訪問した時の記録です。)なんだかピーピング・トム的な構図ですが、僕がやっている行為はまさにそうかもしれません…。シンガポールのちょっとリッチな団地の昼下がり。木陰も涼しげなピロティと屋根付き通路が連結した空間でまったりしているのは…母子にしては近すぎるトシ回りの大人と子供。かといって「保育園のお散歩」にしては少人数です。

気がつくと、シンガポールの団地では、センターのホーカーズやいろんな場所でこういう組み合わせの小グループをよく見かけたのですが、これは「住み込みのメイドさん」であろう、とのことでした。

シンガポールでは女性も外で働くことが(日本よりはるかに)一般的であるため、その間子供の面倒を見ているのが誰かと言えば…年若いメイド。外国人で、住み込みであることが多いそうです。この分野ではフィリピンの名前をよく聞くようですが、国民性が合うのでしょうか。

外国人労働力を集めている源泉がこんなところにもあるわけですが、住み込みゆえに、万が一ご主人と想定外の関係になり、妊娠してしまったら即刻帰国、というルールまで決まっているそうです。ということは、そういうケースが一定数あるということでしょうか。

他人が家に入る面倒を嫌って、近居している祖父母が子供の面倒を見ているケースもあるようですが、都市国家で、外国から知的労働者をできるだけ集め、男女とも外で働く…という社会であっても、誰かが子供の世話はしていかないと社会は回らないわけですね。

「メイドを雇う」ことは、いわば「子育てを外部化」しているわけですが、外食率も高いことを考えあわせると、核家族だけでもない、昔の大家族的地縁社会でもない、「その間」を埋めるための工夫が、このような「家事のにじみだし」で一ジャンルを作っている結果になっているのかなと思いました。そこにコミュニティとの関係も生まれ、団地の外空間が生きてくるわけです。屋根があることが重要になってくるわけですが、このベンガラのような色は、どうしても沖縄っぽく見えてしまいます。

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