誰がニュータウンを「造る」のか?(シンガポール・プンゴル)

(2018年7月に訪問した時の記録です。)シンガポールで現在最も新しいニュータウンであるプンゴルは、「最も遅れて」来た人たちの町でもあります。できるだけ民族が混ざって住むように…という政策はあっても、新しい町にはどうしても最近来た人が多く住むことになります。

駅前の工事現場では、インド系とみられる肌の黒い人たちが働いていました。彼らが「一時的な出稼ぎ」なのか、「移り住んできた人たち」なのか、わかりません。日本の大阪・千里にいると、あまり実感する機会がありませんが、こういう風景は近い将来の日本を示唆しているかもしれません。

シンガポールはアジアの金融拠点として、できるだけ知的労働者を優先して集めたいようですが、誰かがきつい肉体労働もやらないと、町は出来ていかないわけです(もちろん、半世紀以上昔の千里の現場に比べれば、はるかに省力化は進んでいます)。

そのエリアの民族分布を推し量るヒントになる「駅の第二言語表示」は、タミル語でした。シンガポール第4の公用語ですが、インド、スリランカ、マレーシアなどに多くの話者を持つ言語です。プンゴルは、わずか1キロあまりのジョホール海峡を挟んでマレーシアと向き合っていますから、マレー系の影響も強いのかもしれません(プンゴルから直接渡れる橋はありません)。

インド、スリランカ、マレーシアとシンガポールは、同じイギリス連邦に加盟していることも、興味深い点です。経済圏がグローバル化すれば、同じ旧宗主国を持っているという共通点は、あなどれないものがあります。

ニュータウンは「あとから来た人たちの町」ですから、たえず、社会、世界の直近の動きとの最前線にいるのです。

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